【 嗜癖治療におけるソーシャルワーカーと看護スタッフの役割 】   

赤城高原ホスピタル(改訂:03/05/20)


[はじめに]  赤城高原ホスピタルのスタッフ(PSWとNR)がお返事を書きました
 赤城高原ホスピタルのWebサイトの記事を読まれた方から、多くのご質問のEメールをいただきますが、そのうち、嗜癖治療のうえでのPSW(精神科ソーシャルワーカー)とナースの役割と仕事についてのご質問が多いことに気づきました。それらのご質問をまとめて、赤城高原ホスピタルで実際に仕事をしているPSWとNRスタッフに見せ、それぞれのご質問へのお返事を書いてもらいました。PSWとNRが書いた原文を筆者(院長)が抜粋して、重複部分を削り、語句や文を読みやすいように直しました。 


[ご質問]  嗜癖治療の上でPSWの役割と仕事は?
 アディクションや摂食障害の治療上、PSWはどういう役割をしてどういう援助をするのですか? 赤城高原ホスピタルでは、嗜癖治療に関して、PSWはどのような仕事をしているのですか? また、どんなことに気をつけていますか?


[お返事1] 疾病モデルと生活モデルで対応します
 アルコール依存症や摂食障害のような行動障害を伴う病気への援助を考える際には、その行動障害そのものの改善という視点と、クライアントが障害とつき合いながら人生をどう生きるかという視点の両方が必要です。PSWは本来、「疾病モデル」よりも「生活モデル」で対応することが多いので、嗜癖問題治療の際には、PSWの役割は重要です。

 また、嗜癖問題と家族背景と深いかかわりがありますから、家族療法的なアプローチは大切です。家族調整や家族を対象とした援助はPSWの機能のひとつです。     (PSW 樋田洋子)

[お返事2] 家族療法も行ないます
 摂食障害は、アルコール依存症の親をもつ機能不全家庭で育った人や、災害や事件にまき込まれたり、性暴力被害を受けたりした人に起こりやすいことが海外の先行研究や、研究者の著書の中ですでに言われています。実際、当院を受診された患者さんの中には、そういう家庭環境で育ってきたり、長期間の虐待的な人間関係の中で生きてきたり、犯罪被害にあっていたり、という方が多いようです。家庭環境や災害、事件を原因としたら、摂食障害は結果にあたります。この場合、治療者は、結果の部分を扱うだけでなく、原因の部分も扱います。また、摂食障害の方への援助として、PSWは患者本人と家族の両方に対応します。具体的には、PSWは、患者本人には個人面接や、生活指導をしますが、患者の家族には、家族会への参加を勧め、PSWは家族会の進行役をつとめます。患者本人と家族を同席させて面接も行なうこともあります(統合家族療法)。父親、母親にアルコール依存症をはじめ、嗜癖の問題があって、家族も治療を希望する場合は、当院の治療プログラムに参加してもらいます。家族内の嗜癖の問題を家族が否認する場合にも、家族会への参加を促します。他の人(家族)の話を聞くことを通じて、ゆっくり自分たちの問題に気づくことが少なくありません。

 たとえば、患者の両親が不和で、父親から母親への激しい暴力を繰り返し、患者は幼いころから目撃して育っていることが明らかになった場合、父親が、全く自分のアルコール依存症や暴力を振るうことを認めない時には、母親に、アルコール依存症の勉強を勧めます。さらに、父親(夫)の暴力から逃れ方を指導することや、離婚の相談のために、経験豊富な女性弁護士を紹介することもあります。

 これらは、PSW一人の判断で行なうものではなく、全て主治医や看護スタッフらと相談しながら進めていくものです。

 可能なら、当院の研修プログラムに便乗して、ぜひ、あなたの目で、PSWによる摂食障害の援助を、観察することをお勧めします。 (PSW 板垣喜代子) 

[お返事3] 相手の話を聞くことを大切にしています 
 私自身新人のソーシャルワーカーなので自信はありませんが、相手の話を聞くことを大切にしています。もっともこれは摂食障害に限ったことではないですが。話していく中で私自身が疑問に思ったことは改めて本人に聞き返したり、また、本人が思っていること、感じていることを「言葉」として言い表せることができるように会話をすすめたりするようにしています。こういった会話のやりとりのなかで本人自身が「なぜ自分が今摂食障害をしているのか」考えてもらえるきっかけをつかんでくれたらいいなと思っています。 摂食障害という病気を持ちながら、その人がどんな生き方をしていくのか、いかに自分のペースでゆっくりと、楽に生活していくかということを考えていく必要があると感じています。   (PSW 島田直子、石原淳子)

[お返事4] 治療的な観点だけでなく、福祉的な視点からも考えます 
 私たちの病院には様々な悩みを抱えた方達が多く訪れます。その人達の抱えた悩みや生き辛さを共感し、一緒に考え、自己実現をしていくお手伝いができればと考えています。
 具体的には病気についての正しい知識を提供したり、疾病や障害がその人の生活の中でどのような影響を与えているのかを一緒に考えたり、病気を乗り越えたり障害と付き合いながら、どうしたらその人らしく生きていけるかを共に模索したり、必要な支援をどのようにしたら得られるかを考えたり・・・、ということを個人面接や時には家族療法や集団療法的なアプローチを用いて行ったり、様々な制度や人的資源、施設等を紹介したり連携協力しながら行っていきます。その過程では、はっきりしない生き苦しさや心の痛みに気付き、表現する言葉を獲得することも大事なのでカウンセリング的なアプローチも大切にしています。治療的な観点だけでなく、常にソーシャルワーカーとして福祉的な視点から考えることを心掛けています。
 時には、各個人に向けてでなく、学校や地域に向けて正しい知識やメッセージを発信するような活動をすることも大切な仕事と考えています。
 いろいろ書きましたが、困ったり悩んだりした時に気軽に声をかけてもらえればと思います。(PSW 板倉 康広)[TOPへ]


[ご質問]  嗜癖治療の上でナースの役割と仕事は?
 嗜癖問題や摂食障害の治療上、看護スタッフはどういう役割をしてどういう援助をするのですか? 赤城高原ホスピタルでは、嗜癖治療に関して、看護スタッフはどのような仕事をしているのですか? また、どんなことに気をつけていますか? 何を考え、何を感じておられますか? とても重症の方が大勢入院しておられるようですが、どんなご苦労をしておられますか?


[お返事1] 訴えをよく聞くようにしています
患者さんの訴えをよく聞くようにしています。情緒的に不安定な方の場合など、悲しみや怒りが静まるまで、ずっと側で見守っていることもあります。患者さん方と医師やワーカーとのコミュニケーションの仲介役のようなこともします。  (NR 安田ゆみ子)

[お返事2] 看護スタッフの重要な役割としては、患者さんの聞き役になることでしょうか
 私に何ができるかと言ったら、何もできませんというのが正直な気持です。結局のところ周りの人が患者さんの嗜癖問題を変えるなんて事はできません。変るとしたら、患者さん自身がご自分でご自分を変えてゆくのだと思います。

 看護スタッフの重要な役割としては、患者さん方の聞き役になることでしょうか。人は自分のことを話すことで、自分の問題を整理したり、解決への糸口を見つけたりすることができます。人に話しながら自分自身の考えをまとめていけると思います。そしてそういう体験をした人は、自分もまた、人の話が聞けるようになるのではないでしょうか。

 ホスピタルには自分が安心していられる場所がある。話を聞いてくれる人がいると感じてもらえるようなかかわりができたらいいな、と思っています。     (NR 諸田真澄) [TOPへ]

[お返事3] 健康な生活習慣の訓練をします
 嗜癖的習慣に替る健康な生活習慣を身につけさせるように、訓練したり、指導援助をしたりします。 (NR 角田和紀)

[お返事4] もうこれ以上傷つけることがないように、気をつけています
 嗜癖問題を抱えて治療に来られる方は、幼児期の被虐待や、家族問題、対人関係のトラブルなど、これまでにさまざまなつらい体験をしてきておられます。そのような患者さん方をもうこれ以上傷つけることがないように、安心して休める場所を提供できるようにと心がけています。具体的には患者さん方の訴えを「傾聴する」ことに多くの時間を割きます。ただ黙って寄り添っているだけの時もありますし、時には手を握ったりハグしたりすることもあります。看護とのかかわりの中で患者さん方が自分の気持を自分の言葉で表現することを身につけていって欲しいと思います。

 それから患者さんの状態に合わせて、助言や援助をします。たとえば、ミーティングへの誘導はとても大切な仕事です。ただアドバイスはしますが、強制はしません。ミーティングの大切さに気づくには時間がかかることが多いし、重症度や回復のスピードは患者さんごとに違うからです。でも私は、先行く仲間を見て、その言葉を聞くことは、嗜癖からの回復にとって力になると信じています。 (NR S. K.)

[お返事5] 自分の無力を知り、それを伝えることを大切にしています
 看護の役割はいろいろあります。身体的健康管理、精神面でのサポート、教育プログラム(嗜癖問題基礎知識を教えるための講義形式セッション)、家族とのかかわり、自助グループへの橋渡しなどです。

 嗜癖症状そのものに関しては、本人も家族や周囲の人も、私たち治療スタッフも無力です。逆説的ですが、何かをするより、何かをしないことの方が大切な場合もあります。私は、自分の無力を知るということ。無力を伝えるということを大切にしています。具体的には、常識的なお説教をしないことが重要かもしれません。極端なことをいえば、嗜癖を持っていたからこそ、自殺せずに生き延びてこられたと思われる方もいるからです。

 心がけていることは、患者さん方一人ひとりの成育歴、家族関係を知り、抱えている問題、つらさを理解してあげることです。たとえば「良い子」を演じ、自分の感情をなくしてきた人々が、本当の自分の感情を取り戻し、悲しみや怒りを表現し、成長してゆくグリーフワークの過程に私たちスタッフは誠実におつきあいします。

 思い出すのさえつらいようなトラウマでも、いつか話したい時がきて、それを傾聴する人がいれば、繰返し繰返し話しているうちに、患者さんは癒されてゆきます。私たちはそのことを体験的に知りました。私たちにできることはそれを温かく見守っていること。単純だけど難しいことです。  (NR 渡浩子) [TOPへ]

[お返事6] 気持の通い合う共感的な場所を提供することが重要です
 私自身がホスピタルに入院していました。現在では症状(過食嘔吐、情緒不安定、対人恐怖など)もなくなり、病院のスタッフとして働き始めて3年になります。4年前からは、EDM(摂食障害メッセージプログラム)という家族向け集団治療セッションで、摂食障害本人から家族へのメッセージを担当しています。そこでは私が自分自身の体験を話させていただいてます。

 このように、嗜癖問題の理解とそこからの回復のためには、本人も家族も治療者も、体験者(回復者)から話を聞くことが大切です。またミーティングでの体験を通じて、「話す人は誠実に語り、聞く人は、相手の話に耳を傾け、気持を理解しながら共感的に聞く」という練習をしなければいけません。

 そのためには、機能不全家庭のような緊張した雰囲気ではなく、嗜癖者本人やご家族が、安心して自分のことを話せる場所が必要です。治療スタッフとしては、このような気持の通い合う共感的な場所を提供し、維持し続けることが重要なのではないでしょうか。私自身は大したことはできませんが、患者さんやご家族に対していつも優しく笑顔で接するように気をつけています。   (NR 朝子)

[お返事7] 視野を広くして、家族療法的視点から対処します
 現在私は、アルコール依存症の教育プログラムを担当していますが、ご家族のお話をお聞きしていると、アルコール問題だけではなく、摂食障害、ギャンブル癖など、他の嗜癖問題、さらに暴力的人間関係、共依存など、嗜癖問題全般に共通した背景が話題になります。個別の嗜癖症状にこだわりすぎると、このような問題が見えなくなります。嗜癖問題からの回復のためには、家族の協力と理解とが欠かせません。また治療スタッフからすれば、家族療法的視点が欠かせません。嗜癖症状そのものに対して、私たちは無力なことが多いので、視野を広くして、問題に対処すべきだと思います。

 教育プログラムでは、ご家族、ご本人のそれぞれが、ご自分を大切にして、自分自身の生き方ができれば、ご家庭の緊張感が低下し、ご家族のそれぞれが息苦しさから開放される、ということを伝えています。   (NR 日景礼子)

[お返事8] 頻繁にトラブルが起きます
 ホスピタルには、私たちの日常生活からは想像もできないほど、深い心の傷を負った方も入院されます。私たちNRスタッフは、そのような方をもうこれ以上傷つけることがないように、いつも神経を使っています。先輩スタッフから教わり、スタッフ間での情報交換を蜜にし、自分自身を教育すること。 (やりたいけど、なかなかできないこと、かな?)

 一方で、ここホスピタルでは頻繁にトラブルが起きます。自傷行為、自殺行為、薬や酒の持ち込み、隠れ飲み、フラッシュバック、操作的言動などなど。玄関前の植込みの中からお酒が出てくるようなことは珍しくありません。不定期に行う私物検査では、持物の中から下剤や睡眠薬が見つかり、ロッカーの中から腐りかけた食物が出てきます。このような場合でも、私たちはなるべく患者さん方をあまり傷つけないように生活指導をするように気をつけています。パニックや怒り発作、しがみつき、解離性フラッシュバックなどと対応していると、時にはこちらがパニックになりそうです。週に1度くらいは無断離院してしまった患者さんを探すため、昼夜を問わず、病院付近の捜索があります。   (NR 茂木裕美)  [TOPへ]

[お返事9] 私はこの仕事が好きです
 仕事は時にはつらくて大変だけど私はこの仕事が好きです。とくに回復してゆく患者さんを見たり、回復者のメッセージを聞いたりすると勇気づけられます。(NR 多数)

[お返事10] 助言は多すぎるよりは、少なめにしています
 患者さんのいうことは、ちょっと変だなと思っても、頭ごなしに否定するようなことはせず、こちらからの助言は、多すぎるよりは、少なめにするようにしています。(NR 渡健次)

[お返事11] SOSを見落とさないようにしています
 患者さんの出すSOSを見落とさないように気をつけています。回復を急ぎすぎている患者さんやご家族が多いので、焦らせないようにしています。たとえば、お酒を飲んで帰ってくるような患者さんにも、責めるような口調にならないように気をつけています。自分でスリップを申告してきた方には、それをプラスに評価するようにしています。 (NR 茂木まゆみ)

[お返事12]  教育プログラムで、正しい知識を提供します
 院内アディクション問題教育プログラム(AKP)では、アルコール問題、嗜癖問題への正しい知識を提供します。情緒不安定な方や操作的な方でも、巻き込まれないように気をつけています。夜勤帯では、入院患者さんの悩みを傾聴することが多く、また退院された方や通院中の方、まだ受診されていない方の電話相談もけっこうあります。 (NR 角田紀代子)

[お返事13] 一人ひとりの患者さんの問題点を理解して対応することが大切です
 患者さんによっては、身体症状のチェック、服薬確認、副作用の有無の観察、生活指導、事故の防止など、ケアが重要ですが、他の方では、治療の重点はむしろ患者さんの自立援助に移っています。だから、一人ひとりのに患者さんの状態と問題点、治療プロセスの段階を理解して対応することが大切だと思います。どんな場合にも、叱責、押し付け、批判的な言い方にならないように気をつけています。 (NR 尾竹克美)

[お返事14] スリップも回復へのステップとして見守ります
 入院中の患者さんのスリップについても、治療への反抗とか、治療拒否というようにはとらえず、回復へのステップとして長い目で見守るようにしています。 (NR 原沢利行)

[お返事15] いつも医師やケースワーカーと相談しながら援助をします
 重症の摂食障害者の入院が多いのですが、虐待を受けていたり、アルコール問題があったり、情緒不安定で、自傷行為、自殺行為があったりと多問題の方が多いので、気を使います。根気よく話を聞いたり、時にはハグをしたりします。過食嘔吐や盗癖など問題行動にふりまわされないように、いつも医師やケースワーカーと連絡をとり、相談をしながら援助します。 (NR 相京志野婦) [TOPへ]

[お返事16] 患者さんから多くのことを学びます
 患者さんから多くのことを学びます。「私たちの人生上の問題解決を看護婦さんに期待しているわけではありません。ただ話をきいてほしいだけです」とある方に言われたことが印象に残っています。ただ話を聞けばよいとはいっても、真剣に聞いていないと、すぐに見抜かれてしまいます。 (NR 林美智子)

[お返事17] 背景を理解して、優しく辛抱強く対応するようにしています
 摂食障害の方は、情緒不安的で、時には号泣したり、暴言したりという事もありますが、当院にたどり着くまでの間、どこにも安心できる居場所を見つけられず、傷ついておられる方が多いので、背景を理解して、優しく辛抱強く対応するようにしています。 (NR 相京逸雄)

[お返事18] お説教調、命令口調にならにように気をつけています
 助言する時に、お説教調、命令口調にならないように気をつけています。月に1度、患者さん方と空き缶拾いにでかけます。これは、病院の近辺で、ごみや酒ビン、空き缶を投げ捨てる人がいるので、その後始末です。毎回、酒ビンやウィスキービン、咳止め薬のビン、ガスライターの空き缶などが草むらから出てきます。時には中身が入ったままということもあります。 (NR 下田俊英)

[お返事19]  ナースも勉強しないとついていけません
 ホスピタルには、アディクション問題懇談会(AMK)、アディクション問題教育プログラム(AKP)、社会生活技能訓練(SST)など、いろいろなプログラムがあります。ナースも勉強しないとついていけません。自分自身の教育に気をつけています。 (NR 山口茂)

[お返事20] 治療ネットワークを理解し、適切なアドバイスができるようにしています
 院内の治療プログラム、院外の自助グループ、治療ネットワークを理解し、適切なアドバイスができるようにしています。 (NR 平田光晴)

[お返事21] 一緒に泣いたり、怒ったりすることもあります
 傷ついた患者さんに対応していると、冷静にばかりも対応できなくて、時には一緒に泣いてしまったり、一緒に怒ってしまったりすることもあります。 (NR 大塚淳子)

[お返事22] プライバシー保護に気をつけています
 患者さんのプライバシー保護の問題には、とくに気をつけています。 (NR 角田武則) [TOPへ]

[お返事23] 可能な限り多くの回復者に会います
 嗜癖問題の治療では、看護スタッフ自身が回復を信じられるようになるということが大切です。そのため私は、自助グループやセミナーなどに積極的に出て勉強すると共に、可能な限り多くの回復者に会うように心がけています。虐待を受けた方への対応では、トラウマの傷口をこじ開けるような聞き方にならないように気をつけています。基本的には、温かく見守り、黙って話を聞くというスタイルで良いのではないでしょうか。 (NR 渡イサオ)

[お返事24] 白衣を脱いだらタダの人になるように心がけています
 入院してからも自傷行為、自殺行為がある患者さんが多くて、とても神経を使います。疲れます。患者さんの苛立ち、無力感、絶望感、自暴自棄、不信感、怒り、やり場のない気持が看護に向かってきます。迷い、悩み、スタッフで相談して最善の方法を考えます。そしてもう1つ、私は仕事が終わったら、意識的に自分を切り替え、白衣を脱いだらタダの人になるように心がけています。そうしないと自分の身が持ちません。

 でも回復してメッセージに来てくださる元患者さんに会えるのは最高の楽しみです。泣き虫でわがままで、愚図で手を焼かせた子供たちが立派に成長して実家に帰ってくるのを心待ちしている母の心境です。 (NR Y. I.) [TOPへ]

[お返事25] 回復途上の家族です
 嗜癖問題は家族関係が大きく影響しています。ですから、家族が自分自身の内面を見つめ、自分自身の回復に努めることがとても大切です。私自身、回復途上の嗜癖問題家族です。かつて当院で治療を受けました。実は今現在も、院内の教育プログラムに参加し、家族会で体験を分かち合ったりしています。ホスピタルにはご家族で、入院されている方がいます。入院中から院外の自助グループに出られます。退院後も自助グループにつながってくれたらいいな、と思います。 (NR H.U.)


ご連絡はこちらへどうぞ ⇒ address
または、昼間の時間帯に電話(0279-56-8148)して、当院のPSW(精神科ソーシャルワーカー)と相談してください。

AKH 文責:竹村道夫(初版:00/12/14) 


[トップページ]  [サイトマップ]