【 大酒家突然死症候群 】         赤城高原ホスピタル           

(改訂 03/11/03)


大酒家突然死症候群

 普段から大酒を飲んでいる、特に中高年男性が突然死する現象を「大酒家突然死症候群」といいます。

 1995(平成7)年2月、大阪で開かれた厚生省報告会で、厚生省の突然死研究班で久里浜病院と都監察医務院の共同研究が発表されました。

 都内23区内の24時間内の突然死7,376人を調査した結果、男性で45-59歳の中年が約6割を占めていました。日本酒5合以上を毎日飲んでいる大酒家が34%、残りは肝障害と糖尿病のある習慣飲酒者、死亡直前に5合以上飲んだ人であることがわかりました。

 大酒家の突然死では、解剖しても、消化管出血、虚血性心疾患、肺炎、脳出血など、直接的な所見がなく、死因を特定出来ないことがよくあります。そして、普通の人では死ぬことはないような脂肪肝程度の病気しか見つからないようなこともあります。

 一方警察の調べた死因では、アルコール性肝障害が25%、食道静脈瘤破裂、心臓疾患の順になっていました。

 大酒家で突然死してしまった人の多くは、死亡する前日、あるいは直前まで大量のお酒を飲み続けていました。その上、ほとんどの人が食事も取らずに、嘔吐を繰り返しながら飲み続けていたようです。そのような状態で酔って寝込み、そのまま死亡する大酒家突然死症候群が多いようです。

 低体温、低血糖、代謝性アシドーシス、不整脈などによるショック状態と意識障害が関係していると考えられています。

 従来の日本の報告では、アルコール依存症者の死因について、病死では、肝硬変、消化管出血、心不全などが、また外因死では、自殺、不慮の事故などが主な死因として挙げられています。アルコール依存症と診断されていない問題飲酒者でも、肝硬変、肝不全、消化管出血などによる病死、飲酒酩酊による事故死が多いとされています。しかし、今回の報告では、肝硬変や肝不全に至る前の急死例が少なくないことが分かりました。





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AKH 文責:竹村道夫(初版:03/11/03) 


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