ライブレポ No.52
Special Thanks to さよさん 


1999.02.05(金) 
山崎まさよしTOUR 1998−1999 ド ミ ノめぐり
大阪フェスティバルホール start18:30

大阪2Daysの2日目、大阪フェスティバルホールでの「ドミノめぐり」へ行って参りました。

生まれて初めての大阪、それも独り...。
心細い気持ちとライブ前のわくわくした気持ちが、
東京から大阪へ向かう新幹線の窓から見える雪景色で更に煽られ、
テンションは上がりっぱなしです。

会場の大阪フェスティバルホールは、土佐堀川と堂島川にはさまれた中州地帯、
その名も「中之島」という場所にありました。
近くにはレトロな明治時代の外観がそのままの中央公会堂があったり、
中之島にかかる橋も趣があったり、と、
なかなか雰囲気のある川べりを歩いて行くと、見えました、見えました。
壁面に踊っているヒトのオブジェ(?)のあるビル、そして、ビルの上には暮れていく
夕空に、くっきりと Festival Hall の文字が浮き上がって...。

2日目ということもあってか、開演前はなごやかな雰囲気。
相変わらず女性が多かったけれど、2列前の席には上品な50代位のおばさまが、
それも独りで来てました。ステージが始まっても立ち上がりはしなかったけれど、
座ったままでもちゃんとリズムに乗って、手拍子を打って楽しんでいる様子でした。
ステージを見つめる彼女のその背中は優しくて、きりりと美しかった...。


突然、客電が落ち、非常警報(?)を連想させるようなSEの中、
山崎まさよし、中村キタロー、江川ゲンタがポジションにつく。
山崎さんの
「ハァッッ!!」というかけ声でスタートした「ドミノ」、沸き上がる歓声。
と、ここまでは他の会場と同じ。

けれど、客席の様子が違う、違う!! 違う!!!
1Fはさざ波のように、一人一人が、気持ち良さそうにリズムに乗って揺れている。
ステージから見たら、とてもきれいだろうなあ...。
2Fは...文字通り「揺れて」いた。オペラグラスを持つ手が安定しないほど、
「揺れて」いた...。(笑)
会場の隅から隅まで、皆がそれぞれに曲を楽しみ、動く山崎を楽しみ、
生演奏の音を楽しみ、その
「場」を楽しんでいた。

「ドミノ」「アレルギー」と山崎さんもノリノリです。「ガムバタ」のイントロでは、
客席の手拍子に応えるかのように
「ィエ〜ヘィヘィヘィ♪」のコール&レスポンスがあり、
始まって僅か3曲なのに、もうステージと客席が一つになってしまった!!

ま「わぉ、山崎まさよしです。大阪フェスティバルホール2日目です。如何おすごしでしょうか?」
ま「いいホールですね。なんやお客さんもよう見えて...気恥ずかしいわ。」(笑)
これだけMC言うのに、客席からの声はものすごく、それを受けて山崎さん、
「元気そうで何よりデス。」(笑)

「ねこ」のイントロ前に、ブルージィーなハープをひと吹き、
するとお客さんも大喜びで拍手と歓声...。
これには本人、ちょっと照れたのか、「ぇう〜〜。」と、
言葉にならないひと声を発し(笑)改めて、「ねこ」のイントロへ。
ステージと客席とが、お互いの空気を読みあう感じが気持ちいい!! い〜い感じです。

「Fat mama」は、今日もダンサンブルなナンバーとして、楽しめました。
しかし、今回特筆すべきは、キタローさんのベースです!!
「君は見たか、聴いたか、中村キタローのベースを!!」という題で、
ライブレポートが別にもう1本書けてしまうくらい、(笑)
それはそれは、
すごいうねりで、クールですっ!! キタローさん!!
もちろん山崎さんのギターとボーカルがフロントで、ぐいぐいと引っ張っていく曲なのですが、
それを更に押しつつ、引きつつ、まるでリードギターのような
ベースライン(こんな言い方ってあるのでしょうか? 笑)に今日もしっかり踊らされてしまいました。

ここで、MC...のはずが、
ま「おぅ、ちょっとまって、ベルト...ベルトの穴、縮める...」(笑)
これって、仕込みなのか、マジなのか...、ようわからん...。

ま「カゼ引いてませんか?」
ま「世紀末やから、何が起こってもおかしくない。ちょっと、チュー・ニン・グ。
  ぇ、ちょう・げん、でございます。」

客「シチュー作ってぇ〜」「カレー作ってぇ〜」
ま「おのれで、作れ!!」
ま「北海道シチューもあるよ。
♪イッタダキマース(ホッカイドー)」(笑)
ま「しかし、シチューというのは、何をおかずにして食べたらいいんやろ?
  まあ、パンやね。うん、パリジャンやからね...すんません。」(笑)

と、ここで「パリ」をやるかと思えば、やっぱり「セロリ」「僕ここ」と続きます。
「月曜日」のイントロに入る前、軽くコードを鳴らしメロディーをハミング。
そして1コーラス目を弾き語りで「ねぇ〜、ど〜れ〜くらい〜の」と
演ってくれた山崎さん、あんたはホンマ「憎いあんちくしょう」や!!(笑)
客席の女性はもう、うっとり、聴き惚れて、しっとりとしたムードが漂います。

照れを隠すかのようにMCへ突入、
ま「どうも、え〜、あの〜、いいですね。今日は。何かね、昨日から、まったりしてるんですよ。」

客「しゃべることないの〜?」
ま「えっ?えっ?しゃべることあるよ。」

客「雪つもった〜」
ま「あっ?あぁ、雪つもったね〜、....わからん気候ですね。」

客「昨日何食べたん?」「滋賀いくからね〜」「飲み過ぎちゃう」と、
客席からの矢継ぎ早のかけ声に完全に押され気味の山崎さん、体勢を立て直すべく、

ま「洗濯物がたまってね〜。」

客「うち、もって来ぃ〜」
ま「なんで、おまえんとこもってかなあかんの。」(笑)
 「まあ、自慢の7キロ洗いの洗濯機は...ウチで寝てますケド...、
  どうも、ものぐさでいかん...、最近凝っているものといえば...」
 「最近...ドライブ。...質素やなぁ。...それと、ボクが酒好き
  というだけで結構酒送って来るんですケド...飲みきれへんわっっ!! アホッ!!
  えぇかげんにせぇっ、ちゅうの!! アル中にしたいんかいっっ!!」(大笑)

客「じゃあ、ちょうだい。」
ま「最近はワインなのね。独りで1本くらい開けてしまう。」
客「カワシマナオミ」「ソムリエになりぃ〜」「○○○美味しいよ〜」
ま「おまえら、秩序無いな〜、もう、まったくぅ〜。」(笑)
と、演奏に入ろうとすると、
「もう(MC)終わり〜?」(大笑)の声が飛び、
これには山崎さん、
「負けたわ」って感じの笑顔。

これが、噂の「大阪MC倒し」か...。初めて見た...。凄い。(笑)
MCの進行の都合などおかまいなしに、ステージに向かってどんどん話かけてる。
よほどステージに立っている側がしっかり立っていないと、MC の主導権は
難なく客側に移ってしまいそう。す、凄い、こうやって大阪の芸人さんは
育てられるんだろうか...。(笑)


「心拍数」のハープ、今日は優しく聴こえました。これまでの「ドミノめぐり」
では、せっぱつまった、引き裂くような音色で、思わず身を固くしてしまう
こともあったのですが、今日のハープは優しくて、深い音色でした。
「水槽」「琥珀」とゆったりと右に左に揺れて漂いながら、半分眠ってしまったかも...、
これってα波出てます?
続く「One more」は久しぶりに「月キャベ」からのあのフレーズから...。
客席はハッと息を呑む...。

ギターチェンジでのMCは、
「最近、虫歯でね。歯医者で痛くないように治療して下さい、っていうと麻酔
  打たれるんですけどね、それが、また痛い。麻酔がきれるともっと痛い」(笑)
 「痛かったら手を上げて下さいって言われるんです...。もう、すぐ、
  これ(手を上げる)ですわ。で、えらい弱いなあって言われるんですけど。」
 「ツアー中なんでね、困るでしょ。やはり、信頼のおけるどなたかに診て
  もらわんと、一見のところには入れへん。」
と、虫歯の話をひとくさり。

ま「のぼるちゃん、カモン!!」
で、手渡されたモノ...
縄跳びのナワ。笑いながら、縄跳びを始める...。
ま「どないせ〜っちゅうんじゃ、こらっ。」(笑)
で、次に手渡されたモノ...お馴染み(?)のホ・ウ・キ。
生真面目な顔でギターポジションへ抱え、柄を握るやいなや...。
ま「ごっつ、まぁるいネックぅ〜って、おい!!」(笑)
やっと黒いレスポールを手にすることができた山崎さん、次の「最小公倍数」
「マタニティ」とエレキ小僧のまさやんが炸裂していました。
見る度に上手くなっているエレキギター...どうしましょ?(笑)

アコギへギターチェンジ「月明かり」「ソノラマ」「ペンギン」へ...。

ペンギンシリーズは、大阪にちなんで、2匹のペンギンが
「やすし・きよし」のあてぶり(声無し)をしていました。
メガネを飛ばされて、
「どこや、どこや」
と宙をつかむ「やっさんペンギン」を見ていたら、
なんかしみじみじーんとしちゃって...、
この寸劇を大阪でやる意味を独り勝手にかみしめて見ていました。
「ペンギン」でのコーラスのところでは、山崎さん自ら
「ごいっしょにぃ〜っ」
と声をかけ、客席からのコーラスにソロスキャットで応える。りっぱなコール&レスポンス!!

その余韻を「パン」「ヤサ男〜昼休みメドレーバージョン」へ、そのまま
持ち込み、またまた、大阪フェスティバルホールは1F2Fそしてステージも、
揺れました、揺れました。震度2。(笑)
途中でステージ上に仰向けに倒れ込み、皆の手拍子で起きあがる、
例のヤツもやってくれるサービス満点なステージ。
2Fからだとよ〜く見えましたよ。
ギターを抱えたまま、まるでマネキンが倒れているかのような
直立(?)不動の状態の山崎さんですが、

左足だけは、足首から先がリズムをとり続けてました。
ねこが、じっとしていても、
しっぽの先だけ
ピクピク動かしているのと同じように...。

アンコールは、これももうお馴染みの「幻のラグタイムバンド、ボーズ&パーマ」。
ま「今日は、大阪やから、やっぱりこれや〜」
と、
「中華料理」です。大阪での「中華料理」...感慨深げです。
しかし、

「老酒をおかわりしたなら♪...                  
今日は帰りたくないの、バカだなぁ子供みたいなこと言ってぇ
                 ...♪が、できるぅ〜」

と、ここでも独り芝居。
山崎さん、あなたって...、照れ屋なんだか、何なんだか...。(笑)
「お家」でのアカペラコーラスの美しさは益々透明感を増し、「Me & My mind」の
2コーラス目のサビも、アカペラコーラスで歌ってくれてとても得した気分。
むさ苦しい男ども(失礼)から、あんな美しいコーラスが生まれてくるなんて...、

音楽って素晴らしい。(笑)

最後のアンコールでは、「ピアノ」のインストと「ツバメ」を歌ってくれました。
客席の皆の気持ちと、山崎さんの気持ちを合わせて、
空の彼方までぐんぐんと上昇気流に乗せて飛ばしてくれるような、
山崎さんの歌声に、心地良く酔わせてもらった最後の曲でした。

久しぶりにライブを楽しむ山崎さんを見たような気がします。
ライブの勘を取り戻したかのような、
歯車がカチッと合ってスムーズに動き出しているような...。
やっと「ドミノめぐり」の全体像がはっきりして来たのでしょうか...。
そんな、こちらの想いなど知ったそぶりもなく、当の本人は、気負うでなく、
照れるでなく、挑むでなく、飄々とした
「山崎まさよし」のままステージに立っていました。

やっと「山崎まさよし」が帰ってきた実感...。
体中の細胞が「嬉しい、嬉しい」とざわめき出す。
最初は静かに、そのうちに大音量でうるさいくらい...、
笑いたいのか、泣きたいのか、叫びたいのか、よくわからない感情が胸一杯に渦巻いて、
興奮状態のまま会場を出ると、そこには3台のドミノトラック。
白・オレンジ・緑、それぞれのドミノトラックがもう、次の町への移動準備を
始めている。そのトラックを背景に記念写真を撮っているファン。
割とどこにでもある風景...。
だけど、今の気持ちの答えをもらった気がしました。

町から町へ流れていく
根無し草のように、ミュージジャンの「山崎まさよし」でいて欲しい...、
これから先も、還るところはそこに有って欲しい...。
ほのぼのとした、胸にランプの灯火が再び灯ったような、そんなライブでした。

「ドミノめぐり 1998〜1999」、調子は上がりっぱなしのようです。(笑)


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