ライブレポ No.174



YAMAZAKI MASAYOSHI TOUR 2001-2002
-Transit Time-
’01.08.22(水)苫小牧市民会館


Special Thanks to AKOさん



私は実は、とても心配していたのです。生まれ故郷の苫小牧でのライブ。
台風が上陸しようとしていたこともあったけど、何よりも・・・。
何よりも、ノリの悪い土地柄なのですよ。
なので、この土地を避けるというミュージシャンもちらほら居たりして。
おまけに、地元の姉はパート先に無理矢理(!)
チケットを買わされた
等と言っているし。
ええーっ、売れてないのぉ?どうしよう・・・、
空席があったりしたら・・・。まさやん、ごめん。
イベンターでもあるまいに、妙に責任感を感じてしまう私。

さて当日。

函館より雨を連れてきた私ども、開場時間には既に暴風雨の気配です。
やばいっ。

これじゃ、客が余計に来なくなるかも・・・。
等と思ったら、そんな不安はちっとも不要でした。
車で、タクシーで続々と駆けつけるお客さん達。ああ、良かった。
会場に入ると、ステージには鉄骨が組まれ、破れた窓があり、
ドラム缶がや脚立があったりして、
廃工場の雰囲気を醸し出しています。静かに流れるジャズの音。
今までのライブと雰囲気がちょっと違う気が・・・。

予定時間を過ぎてもなかなか始まらず、じれたオーディエンスが手拍子を始める。
かけ声がかかる。おやっ?なかなか熱い会場かも?

約15分押しでBGMが止まると、人々のざわめきや機械音、
飛行機の音などの効果音が流れて
きた。
そこへ、まさやんが登場し、ギターを鳴らすとBGM
も、手拍子も、
かけ声もぴたっと止まるのもなかなか良い感じ。

静かに流れるイントロは「タイム」。
黒のT
シャツにブルーのパンツ、足には珍しくニューバランスのスニーカーの
いでたちのまさやんが歌い始める。
ボーズの2名も加わって艶やかな声が流れる。
歌い終わった時の拍手がすごくてびっくり。
そのまままさやんは何も言わずにギターを鳴らして、音がだんだんと変わっていく。
ラテンな感じのリズムが気持ちいい。
と、後ろの方を見ると、ヘッドホンをしたゲンちゃんがDJしてるじゃありませんか!
うわぁ〜、かっこいい〜!!
まさやんのギターがオーディエンスをあおり始めると、
みんなの手拍子もますます元気になる。

で、いきなり「セロリ」が始まったとたん、会場内どよめく。そうだよね。
やっぱこの曲、楽しいよ。うんうん。手振りもピッタリ合っていて
「単純に君のこと、好きなのさ〜」と指をさされて、会場内は大爆発!!
乙女達の悲鳴が上がってます(笑)。
キタローさんがベースを背に回してティンパレス
(レゲエとかで使う、
あの鍋に入った鉄琴みたいなの、わかるかなぁ)をひき、
まさやんも同じくギターを背に回して
タンバリンを叩く。
なんだか二人とも、大道芸人みたいでちょっと笑えるけど、すごく楽しそうだよ。
珍しいことにラップの部分をかんでみんなに突っ込まれてたけどね(笑)。

そのままリズムがもっと激しくなり、エレキに持ち替えたまさやん。
リズムに乗りながらギターをかき鳴らすと「YEA!!」
もちろんみんなで「YEA!!」と返す。
「行くでー!!用意は良いか
ー!!」
ウォーッと、会場内から雄叫びが上がる。
う〜ん、すごいっすー。「サーカス」が始まる。
CDよりもリズムが激しく、ロックな感じ。
がに股(笑)でエレキを弾くまさやん、声が
すごく良く伸びてる。
くるくる回るライトも、オーディエンスをあおってるみたい。

すぐさま「Sleeping Butterfly」へ。
オーディエンスの手拍子も楽しそう。
青いバックライトに照
らされて、得意満面の笑みでギターソロを弾くまさやん。
うーん、エレキギター、うまくなったかも。

ここでMC。

「どーも、えー、苫小牧(かまずに言えて、ちょっと嬉しそう)。
山崎まさよしです、
どーも。苫小牧。
あいにく台風が近づいて(てもここでかんでムニャムニャ言ってるし(笑))、
大丈夫でしょうか、元気ですか?今日はちょっと、昨日函館だったんで、
電車でこっちに来たんですけども。」
会場内から、電車になんか乗るのか、みたいな感じで
「えーっ!」と声がかかると。
「えーっ、何?なんでそんなに驚いてんの?電車くらい乗るやろ、普通。
<えーっ、私の電車なのに>ってか(笑)。
今日は湿気が多くて、もー、こりゃ失敬」寒い笑い声が広がる。
「というような寒いことも一杯言ってみますんで(笑)、ぜひお楽しみ下さい」


そしてギターチェンジをすると、雰囲気がいっぺんに変わった。
青く渦巻くような、揺らぐようなライトがバックを照らしている。
あの聞き慣れたループが聞こえて「水のない水槽」に。
一種、別の空間に連れて行かれるような気になる。

そして、そのまま切り裂くようなハープが響くと「心拍数」に入った。
ステージの真横から1本のライトが、まさやんの横顔だけを照らし出している。
二番からキタローさんやゲンちゃんも加わって音がだんだんと厚くなる。
サビで赤いバックライトがステージ全体を照らしている。
情熱、激情そんなものを感じさせるライティング。うーん、すごい。
声もホントに良く出ている。

そして又エレキにチェンジすると、軽快なリズムが聞こえてきた。
Super Suspicion」。
サビの
ところで転調して、ぐっとジャジーにアレンジされてる。
大人な感じが心地よい。
終わると「どーも。Super Suspicion という新曲でした。
<超猜疑心、超疑う心>っていう歌
ですね(笑)。
これはスティービーワンダーの歌に<Superstition(和名「迷信」)>というのが
りましてですね、それからなんですけども、えーっこんな感じの曲で」
と言いつつ歌い出す。

キタローさんのコンガも入ってるし。いや〜ん、うまいっ!得した感じ。
「ま、こんな感じなんですけども。どーもありがと。
で、この曲を<スーパーステーション>と覚えてた奴がいまして。
ま、<超駅>ということで。大きい駅なんでしょうね、きっと。
ま、それが言いたかっただけなんですけども(笑)。」会場大笑い。

そして突然「ところでみんな、愛のしくみについて考えてみないか!」
そう、もちろんここで「愛のしくみ」。
ティンパレスやコンガも入って軽やかなラテンな感じの仕上がりで、
まさやんも会場あちこちを見渡して、楽しそうに歌ってる。

次にキタローさんはエレピに座る。今回、キタローさん達大活躍だ。
温かい感じのこの曲は、そう「晴れた日と月曜日は」。
この曲、好きなんだよな。いいな、いいな。
温かい日差しが降り注いでいるようなそんなライティングもピッタリ。

終わると「Hey!Hello Baby!!」まさやん、外人だぜ(笑)。
こちらも思わず「YEA!」と外人返
し。
「これも洋楽の<雨の日と月曜日は>というカーペンターズの曲がありましてですね」
会場から<歌ってー!!>の声に「歌ってって、そんな。知らんわ」といいつつ
ちゃんと歌い始める。あんまり良く覚えていないみたいだけど、
それなりに聞こえるのはさすがプロです(笑)。
「ま、僕はこういう名曲にも劣らない名曲を持っているんでね(笑)。
密閉された空間で、こんなホラばっかりふいてますけれども(笑)」
「春の足音も聞こえて・・・って、もう秋やっちゅうねん!」自分で突っ込んでます。

「さて、風を感じてみようかな」
そう「明日の風」。さやわかだよねー。うーん、ホントに風を感じるみたいだよ。
雲の隙間から差し込むような軟らかいライト。
ゲンちゃんのコンガも利いてる、ちょっとボサっぽいアレンジ。

終わったとたん、あっちこっちからかけ声がかかり、その声に圧倒されるまさやん。
ちょっとびびってる。そこに、男の人の「まさよし〜」という、小さな声が。
「なんやそれ、普通やなおまえ。二階から呼んだみたいやで、
<まさよしー、ちょっとそれ取ってー>って(笑)」会場も、ほのぼの笑ってます。

「じゃ、新しい曲で<区役所>」。
個人的にですが、私はこの曲「江古田」の姉妹と思っています。
なので、頭の中では「江古田区役所」に変換されてます。
いや、そんな区役所、無いけどね。
なんだか、みんなゆったりニコニコしてる。

そして「どーも、短い曲でしょ。短いので間が持ちません。
若い頃は、いや、そう年取ってるわけじゃないけどね(笑)、
昔は人が引くと怖かったんですよ。怖くてしゃべれなかったんです。
今は間が好きで、人が引くのが好きで、寒いとか言われたい(笑)!
これをおやじ化と言うんでしょうか(笑)」
会場からの「おやじー!」の呼び声に
「じゃかぁしい!」と応えながら手にタンバリンを持つ。
「これはブラジルの楽器でパンデードと言います。
堺正章さんの持ってるのとは、ちょっと違いますが。
<会場がかけ声でざわざわしていると>
いや、いい。聞かなくても勝手にしゃべるから(笑)。」
「いやぁ、今日は湿気が多くて、でろでろやな」といいつつ、
背中にギターを背負った渡り鳥スタイル(古っ!)で軽やかなリズムを刻み始めると

「夏のモノロ
ーグ」。
まるで夕焼けのようなバックのライトの中で、笑顔満開のまさやんが歌う。
幸せだぁ〜。
そして静かに前奏を引き始めると、会場から物音一つしなくなった。
Passage」聞くたびに、ライブを重ねるたびに良い歌になっていく気がする。
心にぐーっと染みてくる。後ろに星空が広がっている。
この空は、まさやんがミシシッピで見上げた空なんだろうか。
二番のサビでその星空が天の川に変わる。たまんないなぁ。

次は・・・まいった・・・。

「コイン」。

この1曲を聴くだけでも、このライブに来る価値はある。
そんな風に思わせる曲。静かに泣いてる人もいる。
曲が終わってもしばらくは何の音もしない。
そして、ため息のように一呼吸おいて、わき上がるように一斉に拍手が起きた。
みんな、ちゃんとわかってる。

まさやんは淡々とギターチェンジをしている、と、思ったら
「おーい!何しけた面してんだよぉ!!(させたのはあんたよ!)
よ〜し、踊ってもらおうかぁ!!」と叫ぶと激しいリズムが響
きだした。
ん?なんだ?えーっ、「ヌイチャイナシンドローム」だー!!びっくり。
一瞬何だかわかんなかったよ〜。オーディエンスもうって変わって、ノッてきました。
色使いも派手なライトが、めまぐるしく会場内を回る。

すぐさま「Fat Mama」へ。
前奏が始まると会場から「キ
ャーッ!」と歓声が上がる。
点滅するライト、まさやんのフェイクもめちゃめちゃノッてる。
胸に手を当てて「よろしくお願いしま〜す」と歌われて、
会場内の女性はみんな、目がハートマーク(笑)。そりゃそうでしょ。
次々と曲が続く。

ベースの太いリズムに乗ってキタローさんがステージ前に出てくると「手をつなごう」の前奏。
激しいロックテイストにアレンジされてて、
ラストの声も肺活量の続く限り伸ばしてるって感じだ。
すごいよ〜、すごい。

もう会場のボルテージはヒートアップしっぱなし。
次の「ガムシャラバタフライ」では、もう何が何だか(笑)。
歌も、演奏も、手振りも、ライトも、何もかもがすごいの一言。酔ってる。
私たち、まさやんという麻薬にヤラレテル。でも、もっともっとヤラレタイ。

そしてやっぱりこの曲「月明かりに照らされて」。
この曲だけは、前からアレンジがほとんど変わらない。

次の<どロック>の「アイデンティティークライシス」と合わせて、
ここらのノンストップの時には、もう、自分でも何をしてたのか、良くわかりません(笑)。
記憶が飛んでます(笑)。
ペンを持った右手は、メモを取ることも忘れ、
ずーっと高く挙げられていたのだけは間違いないけど(笑)。

そして、このライブの第一のヤマ場、コール&レスポンスの始まり。
I Feel The Earth move」の曲にのせて会場を半分に分け、コーラス合戦。
ゲンちゃん側とキタローさん側に分かれ、違うパートを歌います。
リズムも違うので、なかなか難しいんだけど、みんな頑張ってる。
ステージ上の3人にまんまと乗せられて、でも誰もみんな目一杯の口を開けて歌ってる。
子どもみた
いに、一生懸命な顔があちこちにある。
そして、キタローさんがスケッチブックに「よくできました」と書いてくれて、そりゃあもう大喜び。
まだまだ続くみんなのコーラスの中、3人が手を振りながらそでへと帰っていったのは、
スタートから2時間後でした。

もちろん、このままで帰れるわけがありません。アンコールを待つ拍手が鳴り響き、
とうとう全員でコールが始まりました。
「まさや〜ん!」ぴったり揃った1000人を越えるオーディエンスのコールは、すごかった〜。
さすがに私も初めての体験でした。

そして、みんなの絶叫の中3人の登場!
なんと、牧師姿です。
いや、修道女なんでしょうか(笑)。

まさやんはめがねを掛け、外人風の付け鼻をしております。
なんじゃ、そりゃ(笑)。
ゲンちゃんは手をぶらぶらさせて、近所の子どもみたいだし、
まさやん十字切ってるし、何してんだか。

と、思ったらそれぞれいきなり3本のマイクの前に立ち、
「ミスペラーズ!」「ミスペラーズ!」
「ミスペラーズ!」と輪唱を始めたではありませんか。
そう、ゴスペラーズは5人、ここは3人だから「ミスペラーズ」なんでしょ(笑)。
しょーもない、と笑いながらも、ハーモニーはさすがです。
ドミノラウンドの時に聞いたこの3人のアカペラが大好きだった私としては、
めち
ゃめちゃうれしい!!

ゲンちゃんの口ドラム、キタローさんの口ベースに乗って歌うは、アカペラシリーズです。
まずなんと「長男」。
う〜ん、かっこいいよぉ。
ギターを弾かない右手はとても手持ちぶさたらしく、ひらひらと宙を舞ってます。
この手が好きな人、結構いるでしょ(笑)。
私は、とっても大好きです(笑)。

次は「根無し草ラプソディー」。
「ごめんよ〜」が「I'm sorry〜」になってます。
芸細かいです
(笑)。

「お家へ帰ろう」も聞けました。
最初手拍子が入ったんだけど、ゲンちゃんがジェスチャーでそれじゃなくて指ぱっちんにしよう!ってやってたのね。
で、まさやんが一言「フィンガー3」ってつぶやいたら、
これがキタローさんのツボに入ったらしく、お腹抱えて笑っちゃ
って、歌にならない。
これをどうにかなだめてたけど、まさやんもげらげら笑ってました。
歌ってる最中も外人気分らしく、両手を広げてすくめてみたりと、
すっかりその気です(笑)。

で、そろそろ持ち場に戻って。
ゲンちゃんまたもやDJブースに立ちます、キタローさんのベースがびんびん響きます。
まさやんのハープはめちゃめちゃノッてます。
「行くぞぉーーーー!!!」会場も一体となってはじけてる!
「審判の日」これ、CDで聞いたときより、全然乗れる曲になっちゃいましたね。
すごく楽しいよぉー!!そしてメンバー紹介。
「今の君はぴかぴかに光って〜」と歌いながら。
今の若いこは、その歌知らんと思うけどね(笑)。

ギターチェンジをしながら「ありがとー!サンキュー!」をくり返してる。
お礼を言うのはこっちだよ。
牧師衣装を脱ぎ去り、めがねを取ると白のツアーTといつものカーゴのハーフパンツ。
このかっこがやっぱ、似合う気がする(笑)。

サンバホイッスルを鳴らし、リズムが刻まれると会場中がカーニバルみたいになってる。
「サンタマリーア!」とか訳のわかんないことを叫びながら「Plastic soul」に突入。
コーラスの部分
だけじゃなく、全部を会場中で大合唱してる。
まさやんの笑顔も全開!空調が利いていなかったせいか、左腕からは汗が滴ってるし。
オーディエンスの汗も半端じゃない。

一旦音が切れて終わったかと思ったら、又始まって
「今日はありがとー!楽しんだかー!二階!一階!」
「メチャノリ良くて、すごいうれしい!楽しかった!またやるね!」
よく見ると、まさやんのギターの弦が切れてる。
本人も、げらげら笑ってる。ラストにもう一度メンバー紹介。

そして最後に「お客さーん!」。

私たちも、このライブのメンバーなんだね。そうだよね。
同じ時を、同じ感動を味わってる、一緒に感じあえてるメンバーなんだよね。

「苫小牧―!ありがとー!!」

と叫びつつ、長い投げキッスをしてまさやんは手を振りながらステージを後にしました。
最初の不安なんぞどこにやら。
熱い、熱いライブは終わりをつげました。
台風なんぞ何のその、魂抜けました。全部、持って行かれました。
「ヤラレタ」正直こんな感想です。でも、もう何度でも「ヤラレタイ」。
長いツアーはまだ始まったばかり、これからもどんどん進化するまさやんに、
ずっとずっと「ヤラレツヅケタイ」と思った夜でした。

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