宮城村において確認されたBSEに関する調査概要(未定稿)
平成14年1月19日
1.住所
群馬県勢多郡宮城村
2.経営形態
(1)米作経営(農地1町歩)
(2)酪農経営(搾乳牛は常時42頭規模。牛舎配置は別紙。堆肥処理はバ−ンクリ−ナ−方式でダンプトラックに積み込み後に堆肥盤に運搬(堆肥処理には発酵促進剤であるス−パ−グアノ:Farmtech Japan Limited 20Kgを使用)し、飼料畑に還元)
(3)飼料畑(7町歩:イタリアンロール、えん麦ロール、トウモロコシサイレージの調整)
3.飼養状況
(1) 現有の飼養状況
総飼養頭数68頭
搾乳牛(42頭)乾乳牛(3頭)育成牛(13頭)交雑種子牛(3頭)ホルスタイン種子牛(7頭)
(2)当該牛の状況
a.品種:ホルスタイン種系
b.性別:雌
c.生年月日:平成8年3月26日
d.産地:自家産
e.出荷月日(出荷先):平成13年11日25日(宮城村在住の家畜商を経由して前橋市場に出荷)
f.購入者:富岡市在住の家畜商
g.購入者の出荷先:さいたま食肉センター
h.分娩歴:
@初産(平成10年4月30日交雑種分娩、同年6月27日前橋市場にて県内家畜商に売却)
A2産(平成11年9月24日ホルスタイン種雄分娩、同年10月22日農協経由で宮城村内肥育農家を経て、平成13年9月20日県外業者に売却)
B3産(平成12年9月30日ホルスタイン種雄分娩、同年11月9日前橋市場にて県外業者に売却)
i.治療歴:当該牛の治療歴は7.(2)のとおりであるが、3産分娩後に繁殖障害となり、廃用対象となった。
(3)当該牛の母牛に関する状況
a.品種:ホルスタイン種系
b.性別:雌
c.生年月日:平成5年1月15日
d.産地:自家産
e.分娩歴:
@初産(平成7年5月7日F1交雑種分娩、以後不明)
A2産(8年3月26日、当該牛分娩)
B3産(9年5月26日ホルスタイン種雌(現有牛No.50)分娩)
C4産(10年5月13日ホルスタイン種雄分娩後、農協経由にて平成10年6月23日(基金147984)村内肥育農家に出荷、その後平成12年2月17日県外業者に売却)
D5産(平成11年8月5日ホルスタイン種雌(現有牛No.77)分娩)
E6産(平成12年10月5日交雑種分娩、平成12年11月29日開催の前橋市場にて県内業者に売却)
f.治療歴:7(3)参照
(4)当該牛と同日の出荷牛の状況
a.品種:ホルスタイン種系
b.性別:雌
c.生年月日:平成7年10月29日
d.産地:自家産
e.出荷月日(出荷先):平成13年11日25日(宮城村在住の家畜商を経由して前橋市場に出荷)
f.購入者:県外の家畜商
g.購入者の出荷先:県外の食肉センター
h.食肉検査成績:BSE検査(陰性)
4.豚鶏(ペットを含む)等の飼育環境
当該農場では豚、鶏の飼育経験はない。また、ペットに関しては、現在猫(4匹:平成13年12月中旬1匹死亡)、犬(1匹)の飼育がみられてはいる(ペットフードに関しては特定の銘柄使用はない)ものの、平成8年当時は飼育されていなかった。
5.当該牛、当該農場で給与していた飼料
当該牛および当該農場において給与されていた飼料とその給与期間を調査した結果、平成8年当時から現在まで飼料給与面での特に大きな変更はみられなかった。
ミネラル類はハイリンカル(小野田化学:JA宮城から購入)、並塩(鳴門塩業(株)徳島、25Kg)を給与している。
飼料添加剤としては平成8年当時には給与していなかったが、現在ではラクテットAE(日本曹達(株))を使用している。なお、夏場には飼料に混合飼料ハイMG重曹ペレット(20Kg、小野田化学)を添加することもある。
購入粗飼料は現在バミューダグラスを給与しているが、平成8年当時はトールフェスク(倉沢商会:現在廃業)を使用していた。なお、現在は使用していないが、平成8年当時はヘイキューブ、圧ペンムギ(ともにJAから購入)を給与していた。
また、サイレージ添加剤としてはサイレージメイト、サイロガードを使用していたこともあるが、現在は使用していない。
6.当該牛の同居牛
(1)農場内同居牛の臨床症状
当該農場における現有飼養牛に対して平成12年12月1日より現在まで臨床検査を継続しているが、牛群に何ら異常は認められない。
(2)当該牛が農場内で飼育されていた期間における現有同居牛(別紙)
上記の5に示した給与飼料状況と同居牛の生年月日を考慮すると別紙に示した擬似患畜が特定される。
(3) 当該牛が農場内で飼育されていた期間において移動(生体出荷)した頭数(別紙)
(4)当該牛が農場内で飼育されていた期間における死亡・廃用した頭数(別紙)
平成13年12月2日までの死亡頭数は18頭であり、そのうちの10頭は1ヶ月以内での事故(主に下痢:詳細治療記録なし)であり、その他は死産3頭、不明(記録なし)5頭であった。なお、当該農場における平成13年12月2日までの廃用頭数は26頭であり、詳細は別紙のとおりである。
7.動物用医薬品の使用状況
(1) 農場で使用していた動物用医薬品
別紙(実施中)のとおりであり、農場内常備薬は以下のとおりであった。
@ エデサンAD3E(フジタ製薬(株)製造、販売)
A エデスター2号(兼松食品(株)製造、星家畜薬(株)販売)
B泌乳期用スペクトラゾール(シェ−リングプラウアニマルヘルス社製造、田辺製薬(株)販売)
C蹄病軟膏NZ(日本全薬工業(株)製造、販売)
D カウカルシウム(三郁サンダイヤ(株)販売)
Eビオペア(東亜薬品工業(株)製造、販売)
FOTC注ミタカ(三鷹製薬(株)製造、販売)
G乾乳用軟膏A(日本全薬工業(株)製造、販売)
(2)当該牛の治療歴と使用していた動物用医薬品
別紙に示したように平成8年次に発生した農場内サルモネラ感染症に対する予防的治療に抗生物質投与がみられる他に物理的損傷、乳房炎による治療歴がある。また、平成11年次頃から繁殖障害の治療として性腺刺激ホルモン剤が使用され3産目を受胎分娩した。しかし、3産目分娩後に繁殖障害(リピートブリーダー)となり廃用となった。なお、廃用対象となった乾乳期に食滞となったが、ビオペア投与(診療記録なし)により症状は改善した。
(3)当該牛の母牛の治療歴と使用していた動物用医薬品
平成8年7月下旬にサルモネラ感染症に罹患し、その治療が8月中旬まで継続された。その他は4産分娩後の泌乳中期に黄体遺残症として繁殖障害の治療を受けたが、その後受胎した。その他、本牛に対する大きな治療歴はない。
8.当該農場における疾病発生状況
(1)当該農場における疾病発生状況
疾病の発生状況は平成8年次7月から牛群に蔓延したサルモネラ感染症により甚大な被害を被ったが8月中旬に終息した。平成9年次は診療頭数こそ少ないものの代謝性疾病の診療頭数は30%に達している。平成10年次以降は診療頭数の増加がみられるが、これは家畜共済による繁殖検診あるいは診療の増加によるものであり、起立不能を呈する分娩後の代謝疾病の診療頭数は減少傾向にある(理由については(2)参照)。
(2)当該農場より廃用された疾病状況
平成9年次に分娩後の代謝性疾病であるダウナー症候群の死廃頭数が3頭であり牛群の規模としてはやや多い傾向にあった。しかし、現在では飼料給与方法の変更(代謝性疾病多発時には飼料給与順序はサイレージ→配合飼料→粗飼料であったが、現在は粗飼料→配合飼料→サイレージ→粗飼料へ変更)、乾乳期飼養方法の改善(疾病多発時には泌乳期用配合飼料+稲ワラが主体であったが、現在では乾乳期用配合飼料+良質粗飼料)等によって代謝性疾病の発生は皆無に等しい。
9.当該農場において使用された肥料
飼料畑に使用された肥料の購入先はほとんどが農協扱いである。
10.他農場や公共牧場への預託状況
過去10年間にわたり、自家牛の他農場および公共牧場への預託経験はない。
11.周辺農場の飼養管理状況
ほぼ同様な酪農飼育形態の周辺2農場においてその飼養管理状況を調査した。その結果、当該農家がその地域で特異な飼料給与形態とは考えられなかった。
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