UNDP

大きなプロジェクトはないが、小さいものが実施されている。
国連機関のなかのFAOがあり、その他は普通の小さなグループがある。
モンゴルの伝統的な牧畜方法をどう生かすか、という調査を実施している。この調査とは1年前から始まっていて、草原、森林、砂漠地帯を3つの県について調査を行っている。そのところでは、現地の人たちの仕事、牧草地についての問題、将来的にはそこで産業を起こす計画に対しても検討している。
特に、家畜病院の問題についても実施している。例えば各地域に獣医師がいて、そこの人々が契約をしてやるわけであるが、その手助けを実施している。しかし、すべて国連が実施するという訳にはいかないため、地元NGO団体の助けを借りている。協同組合を設立してそこの診療を行わせる。直接ここが金を出すのは難しいので、そういう団体にやってもらう。NGOにやらせるか、協同組合にやらせるかという問題では遊牧民の意識調査を行った。その結果、NGO団体にという回答が多いが、自分たちで協同組合(ホルショー)を作り、自分たちでやりたいという意見もあった。
医療については基金をつくる。遊牧民に金を貸し付けて返してもらう、獣医師の例えは家畜を洗うバスタブを購入する資金を貸し付ける等、とりあえず貸し付けるという形をとる。
また、牧草地を有効利用する計画に注目している。10月1日から許可を得ている段階に入った。調査結果では水の問題があり、その障害を取り除く際にも資金を貸し付けるという形態をとりたい。融資先はタシス(TASIE)という農牧省の中に入っているNGO団体、EUおよび世界銀行となるだろう。
その他に、自然環境の問題にも取り組んでいる。自然環境の中で遊牧民の生活をどうするか、という問題である。7年間の期間で動いている。保護区とか、その間の地帯とかの区分けをして、そこに住んでいる遊牧民に理解してもらい観光を起こすプロジェクトである。他にも2ヶ所計画している状態であり、財政の問題を世界環境機構にいっているところで、アルタイ山脈と上にあるハヤシ山脈地帯とその下側のデル地帯における動植物の調査の計画がある。遊牧民の生活にどうプラスさせるかを考えている。
FAOにおいても遊牧民に対する計画が2つ進行中である。
97年から中央アジア牧草地問題の会議がはじまり、牧草地のリスクマネージメントをしている。草地の適正利用、ストレスを軽減させるため調べる。それはどうやって行ったらよいのか。その中には個人に対してと団体に対して適用されるものがある。個人に対しては遊牧民が盗難、あるいは狼に襲われて家畜を失う場合、団体に対してはゾドとかが問題となる。現在、ウランバートル付近130Km西のところのルンという場所、モンゴルの端であるオフサヤという場所の2ヶ所で草地のストレスの調査を実行している。
95年から牧民が家畜を失ってしまった場合に、どのように家畜をもたせるか、ということを考えている。干害、雪害で家畜を失ってしまった場合、家畜を買うために貸し付けという形をとっている。それは家畜を持っている人と持っていない人を関連づける(豊かな人の家畜の持っていない人が世話をすることで、その見返りとして家畜を譲ってもらう)、ことをやっているが、医療の問題、衛生の問題を含めて再検討したい。例えば、金を地方団体に貸し付けて、それでだれか家畜を買って家畜がない人にあげて、ない人はその家畜を増やして利子とともに返却する、という方法では色々困難な場合がある。そうではなくて地域のなかで豊かな人にところに行かせるという、そこだけの関係でやらせるというプロジェクトの方が良いと判断している。東方の県の家畜を増やすプロジェクトの承認も得ている(ヘンピー県が対象に入っている)。
最近、フランス政府の調査団が畜産関係の調査にきた。詳細な内容は知らないが、人の食糧援助を畜産のために使うことが目的だったようだ。
1つのソムで20世帯近くの遊牧民を調査している。調査側はNGO団体であり、4人の専門家(獣医、地理、経済財政、家畜の専門家)がチームを組んでいる。来年(2002年)の春に最終結果が報告される予定だ。計画段階で計り知れない問題が調査段階で判明しており、例えば牧民との話し合いの過程で家畜医療(病院)の問題、現金貸付の問題が浮上してきた。貸付けの問題は他の大きな援助との関係づけの作業をしている。お金の問題と牧民に対するプロジェクトは別に動いているので、それをどうやって結びつけるか、ということが問題であろう。基本はUNDPがお金をだしてもよいか、その後はお金を貸すことに興味を持つ団体(利子をとって利益を上げる団体:ノンバンク)に任せたい。
牧民たちと獣医師の契約するためのプロジェクト:牧民が集まった団体と獣医の生活、どのようなサービスを行えばよいのかを効率的に進めたい(個々の牧民との契約を推進するよりも効率的)。GTZのプロジェクトにも同様なものが動いているが、一部重なる場所はあるが、こちらは保護地区を中心に実施しており、別個に動いている。GTZの獣医医療サービスの実態はすべて把握していない。従って、各NGO団体を含めて、どのような行動をしているかを全て把握しているわけではない。96年当時はそのようなまとめが出されていたが、現在は実施していない。
牧草地をよくする計画はないが、壊れた井戸の修理する(井戸を修理することによって現在使用されていない牧草地が利用できる)等の結果的には牧草地改善に結び付けたいが、牧草の品種改良等の計画はない。
この国では命令系統が現在は機能していない状況にある。つまり、ソムの村長が命令し、それを全員が聞くという機構にはない。従って、そのシステムを創っている段階である。例えば、春に遊牧民が放牧した後、草がなくなったので、別の場所に移動する。その空いた場所に別の遊牧民がきて、放牧を始める。すると、その場所の草はどんどん悪くなる。しかし、現在それを止めるべき人がいない。このような指示形態をつくる作業が必要である。
要求は地域の牧民からどうあがるか、それを調べるのがここの仕事である。つまり、こっちから積極的に現地に出向いて、ここの個所が壊れているので、修理しましょうというやり方はしない。むこうの人たちが、どのように思っているのか、何をして欲しいと考えているのかの要望を聞くのが仕事である。最近、ワンダラー援助という30万ドルの牧草地利用に関する援助がでるが、この仲介をとるという仕事はする。
県、郡から井戸をどうにかしたいという要望が出れば専門家を招いて調査をする。しかし、遊牧民からの要望に関しては、やって欲しいという地域もあれば、やって欲しくないという地域もある。牧民の中にはよそ者を地域の中に入れたくない、係わって欲しくないという考えもあるので、画一的に広く何かを実施するということはしない。ただ、牧民は直ぐに意思決定をするということに学んでいないので、仕事に時間がかかる。政府の仕事は、郡に意見があがって、次に県、さして政府に意見が届き、お金が下りる。しかし、ここでは地元民の意見を直接聞くようにしている。
牧民自体が誰かの援助でやっていくのではなく、自分たちで自活していくために、獣医とどのように契約していくか、自分たちで計画させる。こういうことをやりたい、やりたいことを牧民達にみつけさせることも重要である。10月からは貸し付けのプログラムが開始されるが、借りてしまえばどうやって返すのか、システムを学ばさせねばならない。
個人の考えとしては、19世紀は王朝時代、そして社会主義、91年以降民主化によってバラバラになった。遊牧民は牧草管理問題と市場経済にどのように加わるが、非常に興味をもっている。個人としてよりも団体(組合)で売買した方が良いのも理解している。市場経済に加わるためには組合も必要であろうと理解している。ですから、必要と理解している人たちだけが集まって始めたらよいのではないか。急激に全体を組合形式に移行させるよりも良いと思う。

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