農牧省中央獣医研究所
この研究所は家畜衛生、家畜疾病の診断を実施する機関である。仕事開始は約50年前になるが、建物自体は30年経過した。50人の職員を抱えているが、現在研究所には平均年齢が上がってしまい、若い獣医師がいない現状である。具体的には疾病診断、食糧安全(残留問題、牛乳の衛生管理)に関する仕事に区分される。研究所内には薬品を製造する部門もあり、ここで使用する以外に各検査所にも配布している。各県にあるラボから依頼された仕事を各県に回答しているとともに、各県への指導をしている部署もある。例えば地方の獣医師で疾病診断ができない場合には地方に出向いて疾病診断の指導もしている。そのため、研究自体が目的ではなく、地方で実際発生している疾病診断、対策が主たる業務となる。研修は口蹄疫に関してこの4月に実施した、また現在食肉検査所(全国で16から17ヶ所)の獣医や技師に対しての研修(肉を国外輸出できる基準)も実施している。現在、獣医師会長も併任しているが、獣医師会の研修もこの施設で実施しており、この研究所だけでなく獣医師会とも連携をとり仕事をしている。昨年、南多摩の獣医師会が訪れて、地方をまわって一緒に仕事をし、ゾドに対する義援金もあった。
6月に公布された新しい法律の下になって、予算面では仕事はしやすくなるであろう。仕事量としては飼料中のカビの検査は昨年100検体ほど処理した。血清抗体検査については6000検体程度処理した。
口蹄疫が昨年発生した時にはここでは診断できずにロシアにお願いしたが、今年度はこの場所で診断できた。疾病診断は各県でもある程度可能(代表的な疾病10種類程度は診断可能であるが、めったに発生しない病気には対応できないこともある。県により発生しやすい病気も異なってくる。)であるため、国内すべての診断を実施しているわけではない。なお、口蹄疫に関してはパンフレットを配布して衛生意識の高揚を図っている。
以前、小宮山さんが日本に馬を輸出したことがあったが、20種類の検疫条件が提示されたが、そのうち10種類は国内で発生のなかった疾病であったため、残りの10種類の検査を実施した。ロシアに肉を16トン輸出しているが、これはダルハンの検査所において実施している。
すべての県には検査所が設置されているが、ダルハンのように新しい県には検査所がないが、民営の検査所が2つある。また、食肉処理場には必ず検査所が併設されている。市場などの肉の検査は民間がやっているが、病気の診断は国の機関が行っている。
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