【脱法ドラッグ、流行小史 】  赤城高原ホスピタル

(改訂: 07/09/20)


[はじめに]
 このページでは、日本における脱法ドラッグ(いわゆる合法ドラッグ)の歴史を、流行のドラッグ、法律規制、犯罪、事件、報道などを中心にまとめました。


[関連サイト]

 合法ドラッグ、脱法ドラッグ
 リタリン乱用
 ハーブ系ダイエット薬、エフェドラ(Ephedra)の危険性


[関連語]

合法ドラッグ、デザイナードラッグ、スマートドラッグ、ライフスタイルドラッグ、生活改善薬、リタリン(メチルフェニデート)、エフェドラ、ゴメオ、メチロン



1985年、ニューズウィークがエクスタシー(MDMA)をとりあげた。MDMAはアンフェタミン(いわゆる覚せい剤)系薬剤。デザイナードラッグの代表。ケミカル系ドラッグの代表。

1985年、6月、アメリカ連邦麻薬取締局(DEA)、エクスタシーを非合法ドラッグと規定。

1986年、3月、エクスタシーは麻薬の1級指定となったが、規制後も、乱用は続き、通称「ハウス」と呼ばれるダンスミュージックと共に広がる。ロンドンが発祥といわれる「レイブ」と呼ばれる野外イベント(テクノ音楽が中心。自由な雰囲気の踊りの場、若者主体、コンサート場や広いスペースで行なわれることもある)では、しばしばエクスタシーなど違法薬物が使われた。この流行はすぐにアメリカに伝えられた。

1992年、アメリカで「ハーバルエクスタシー」発売。主成分はエフェドラ。その後、類似品ともいえるクラウド9やXも登場。さらに次々に、アップ系ドラッグが発売された。

1994年、アメリカで Dietary Supplement and Health Education Act (DSHEA)が制定された。この法律によって、ハーブ製品は安全性、有効性を証明する必要がなく、ラベルに書かれていることを保証する責任がなくなった。ハーブ系ダイエット薬業界の大勝利である。この法律のためにFDAのエフェドラ規制が大幅に遅れたといわれる。

1995年夏、日本の合法ドラッグ時代がスタート。ハーバルエクスタシーが日本に上陸。同年秋、ナチュラルエクスタシー発売。海外製品はエフェドラ入り。日本では、個人輸入(代行)による入手が原則だが、違法販売も横行していた。日本で正規に販売された製品では、薬事法に違反しないように、消費者には説明ないまま、エフェドラが取り除かれていたらしい。その違いを知らずに、海外製品と同じものだと思って購入したユーザーも多かった。

1990年代後半から、高校生や若者の間でラッシュ(Rush)という揮発性液状の脱法ドラッグ乱用が広がった。ラッシュ(Rush)は、亜硝酸アミル類似成分(亜硝酸イソブチル、亜硝酸イソアミル)などを含み、脳貧血、めまい、血圧低下、心悸亢進、頻脈、虚脱、唇や皮膚のチアノーゼ、失神、錯覚、幻覚、頭痛、嘔吐、メトヘモグロビン血症、尿失禁、便失禁等をおこす。大量に吸入すると呼吸障害を起こし死に至る。特徴は安いこと。安物は980円。高くても一瓶4000円。後に取締りが厳しくなると、ビデオクリーナーなどという偽りの用途をつけて売られるようになった。

1995年、Xタブレット発売。エフェドラなど、多種のハーブからなる。リキッドXというのは、同成分を液状にしたもの。

1996年、エクスプロアー発売。女性用セックスドラッグとよばれる。エフェドラなど含有。

1996年春頃、「X」と「リキッドX」がマスコミでとりあげられる。代行輸入で販売された。

1996年夏、「レイブX」販売。日本向けに成分が調整(エフェドラ抜き)されていたらしい。

1996年、「クラウド9」、「ナバーナプラス」、「エクスブロアー」などが人気。

1997年、インターネット、アダルトショップなどで、通販を行う業者が続々登場。

1997年、マジックマッシュルーム(通称、MM)が日本市場に登場。サイロシン、サイロシビンがMM(マジックマッシュルーム)に含まれる幻覚物質。2002年規制まで合法だったため、当時、「なぜ日本は、マリファナに厳しくて、MMはOKなの?」と外国人に不思議がられていた。

1997年秋、Xブースターが日本に登場。主成分はエフェドラ。

1998年、「GHB」が日本に登場、通称「レイプドラッグ」と呼ばれた。

1998年4月、アメリカで「バイアグラ」発売。日本で個人輸入代行業者乱立。[ TOPへ]

1999年1月日本で「バイアグラ」発売。異例のスピード認可は、厚生省が個人輸入による乱用事故をおそれたためと言われる。

1999年4月、改正風俗営業法施行。インターネット上で通販業務を行う者は公安委員会に届け出ることを義務づけられた。以後、合法ドラッグの通販サイトが次々に閉鎖された。しかしその数年後には、規制逃れの手法を駆使した新たなサイトが次々に登場、あるいは復活しつつある。

赤い悪魔 このころから「エフェドラスーパーカップ」(左図)が流行。「エフェドラスーパーカップ」は、究極の発情剤ともいわれ、赤いカプセルに入っているため、日本のマニアの間では、通称「赤い悪魔」と呼ばれていた。ほかにエフェドラ入りダイエット・ピルとしては、ネイチャーズウルトラブースト、エネルギーフォーミュラなど、多数の製品が個人輸入された。

1999年、日本では、エクスタシー、GHBな
どケミカル系薬物に代って、ナチュラルハーブ系の薬物が流行してきた。代表はマジックマッシュルーム。以前は錠剤だったが、この頃からは乾燥きのこの製品として売られるようになった(4回分1セットで1万円位)。規制逃れのため、「観賞用、研究用」とか、「服用すると危険です」というわざとらしい注意書きが付いていることもあった。

1998-2002年、マジックマッシュルーム(通称、MM)による事故、事件が続発。
(1998年、慶応大学病院救急部に「インターネットを通じて買ったMM粉末を飲んで幻覚妄想状態で自宅2階の窓から飛びだしたという40代の全身骨折患者が受診した。1998年7月に東京都内の19歳の女性が大量に摂取して死亡した。1999年6月、東京都内の大学で、繁華街で粉末状のMMを買い、友人と学内で飲んだ男子学生が急性錯乱状態になった。同月には関東地方でキノコ粉末を飲んだ男性がビル9階から落ちて死亡した。2002年4月には東京都内でモデル出身の若手俳優が幻覚症状を起こしてコンビニエンス・ストアーに駆け込み暴れたため緊急入院になる騒ぎが起きた。)

2000年初め頃から、赤城高原ホスピタル受診患者から「エフェドラ」の名前を聞くようになった。同年12月、赤城高原ホスピタルHPに、「ハーブ系ダイエット薬、エフェドラ(Ephedra)の危険性」ページが初登場。その情報を見た日本の使用者から、Eメールによる副作用報告が続々と寄せられた。

2001年、10月、GHB(ガンマヒドロキシ酪酸)が麻薬に指定された。

2001年、12月6日、NHKテレビ「おはよう日本」が、「合法ドラッグ―とくにエフェドラ問題」を特集放送。当院のHPも紹介された。(日本のマスメディアが初めてこの問題に注目)

2002年春ごろからインターネット上でメチルフェニデート(リタリン)の不正売買が目立ち始めた。

2002年、6月5日、マジックマッシュルーム(通称、MM)が麻薬取締法による規制対象に加えられた。

2002年夏、「中国製やせ薬」被害に関連して、テレビ局は、いっせいにエフェドラ問題を取り上げた。TV東京、ニュースアイ(02/07/23)(02/07/25)、NHK、おはよう日本(02/07/24)、フジTV、スーパーニュース(02/07/31)など。最後に、NHK「クローズアップ現代」(02/09/05)が特集。

2002年、8月、インターネット上で、リタリンを売買しようとした女性(19)を愛知県警が摘発。

2002年、9月12日(NHK特集の1週間後)、厚生労働省、医薬局監視指導・麻薬対策課長から、各地方行政区の薬務主管部あてに「エフェドラ製品の監視指導」要請の通達が出された。事情聴取の係官がホスピタルを訪問した。

2003年初め、神奈川県の男子大学生(25)がリタリン乱用から薬物依存症になり、服薬自殺。

2003年、1−8月、毎日新聞がリタリン乱用問題キャンペーン。全部で7回。

2003年、2月、赤城高原ホスピタルHPに、「合法ドラッグ、脱法ドラッグ」ページが初登場。

2003年、2月、大リーグの若手投手、オリオールズのスティーブ・ベクラー投手(23歳)がエフェドラ使用中に急死した。検死官がエフェドラ関与を断定し、家族が製薬会社を訴えた。アメリカでは、エフェドラの危険性が知れ渡った。

2003年、3月、ネットオークションでリタリン200錠が7万円で落札された。

2003年、6月、東大病院医師がリタリン、ハルシオン詐取で逮捕された。[ TOPへ]

2003年、10月2日、NHK-TVで、リタリン(メチルフェニデート)乱用問題が取り上げられた。

2003年、11月、愛知県警生活経済課は未承認の医薬品「2CT−2」や「BZP」をインターネットで販売したとして、業者二人を逮捕した。

2003年、アメリカにおけるエフェドラ製品の売上高は5.1億ドルまで落ち込む見込み。これは、ピーク時(2001年)の売上高、13億ドルからみると、61%ダウン。アメリカでEphedra-free(エフェドラ抜き)ダイエット製品が流行しはじめた。これまで、薬事法違反を避けるため、ひそかにエフェドラ抜きにしていた日本仕様製品も、大っぴらに「エフェドラ抜き」と宣伝するようになった。

2003年12月30日、アメリカFDA(食品医薬品局)がエフェドラ製品販売禁止の方針を打ち出した(04/04/12より違法行為)。アメリカでは155名のエフェドラ製品関連死があったとのこと。日本では、少なくとも、報道された死亡例はないらしい。

2003-2004年、赤城高原ホスピタルに脱法ドラッグ主体の薬物乱用者がたまに受診しはじめる。ラッシュ(Rush、ニトライト系、ビデオクリーナーとして売られることがある)、ニトライド、ハルマラ(沸騰した湯に入れる)、ウッドローズ、マジックマッシュルーム、エフェドラ、ガンマックス、コンボス(コンボスエクスタシー2)、メチロン(Methylone。エクスタシー類似化合物。解熱鎮痛消炎剤、スルピリンのブランド名、Methylonとは関係がない)、2CT-21(粉末ケミカル、幻覚が見える)、ガンクリスタル2(GUN CRYSTAL2; アロマリキッド系)などが売れ筋。

2004年、1月、愛知県警は未承認の医薬品「2CT-2」をインターネットで販売したとして薬事法違反の疑いで、さいたま市に住む会社役員の少年(19)を逮捕した。

2004年7月10日、午後10時すぎ、東京都杉並区高円寺の交番に、全裸で血まみれの男(22歳)が駆け込んできた。台所から持ち出した牛刀で同居中の20歳女性を刺殺し、さらに通行中の女性の後頭部にいきなり噛み付くなど錯乱状態。事件の直前にゴメオ・ディプトなどの脱法ドラッグを1時間ごとに3種類服用していた。

2004年7月18日、茨城県三和町のホテルで、地方公務員の男性(29歳)が急死した。通常量の10倍のフォクシーを男性の肛門から投与したとされる同性愛相手(36歳)が後日、逮捕された。

2004年8月、「脱法ドラッグ」について、東京都は全国で初めて条例で規制する方針を決めた。専門家で構成する委員会を設置し、指定薬物については、販売や製造、輸入、広告などを禁止。罰則や立ち入り調査権を導入する。規制薬物は「知事指定薬物」と呼ばれる。国に先駆けた規制方針。

2004年、12月、厚生労働省は、麻薬と同じ作用がありながら法の規制外となっている「脱法ドラッグ」のうち、「5−Meo−DIPT」(通称フォクシー、フォキシー、またはゴメオ)と「AMT」(同デイトリッパー)を麻薬に指定することを決めた。2005年に政令を改正し追加する。(2005年3月公布、4月17日施行された)

2003-2004、タイから個人輸入により入手した無承認無許可医薬品による健康被害が報告される。「ホスピタルダイエット」、「ニューホスピ」、「ドクターダイエット」などと称されるもので、成分分析により、ビサコジル、フェノバルビタール、シブトラミン、ヒドロクロロチアジド、フェンテルミン、マジンドール、ジアゼパム、マレイン酸クロルフェニラミン、甲状腺ホルモン、ビサコジル、アセトアミノフェンなど医薬品が検出された。これらダイエット剤は、通常は「合法ドラッグ」とは呼ばれないが、同様の意味で、合法ドラッグの危険性があらためて注目された。→厚生労働省の関連記事

2004年12月、食欲抑制剤、マジンドール(商品名サノレックス)の乱用者(摂食障害患者、正常範囲内体重)が赤城高原ホスピタルに初めて受診。マジンドールはアンフェタミン類化合物。

2005年1月24日
脱法ドラッグ流行に対処するには、個別の麻薬指定による規制では限界があるとして、厚生労働省は全面規制に向けて、専門家による検討会を2月から発足、10月に結論を出す予定。

2005年2月22日
日本薬剤師会の自治体アンケート調査によると、2001年からの3年半に処方せんを悪用した向精神薬不正入手が少なくとも30都道府県で128件あった。1人で多くの病院を受診し正規の処方せんを受け取る「多重受診」の手口が目立ち、処方箋のコピーや改ざんの例もあった。薬の種類ではリタリンが48件、ハルシオンが37件とこの2薬剤が乱用薬代表。[ TOPへ]

2005年3月18日
脱法ドラッグ、5MEO-DIPT(通称、ゴメオ、フォクシー)とAMT(通称、デイトリッパー)が麻薬指定された。3月18日付けの官報で公布され、4月17日から施行された。

2005年3月31日
東京都は、危険性があると判断した「脱法ドラッグ」を知事指定薬物として「指定」し、製造や販売すること、及びみだりに使用することなどを禁止した。(05/03/31公布、同4月1日施行、条例第67号、「薬物の濫用防止に関する条例」)

2005年4月27日
「脱法ドラッグ」問題で、厚生労働省は、販売方法や販売場所、製品の形状などを総合的に見て「人体の構造や機能に影響を与えることを目的に製造、販売していると判断できるものは、薬事法違反に当たる」との見解をまとめ、自治体に通知して監視指導の強化を求めた。

2005年5月25日
東京都は、2C−I、MBDB、5−MeO−MIPT(通称、ミプト)を知事指定薬物として規制開始。同6月1日から施行。その後も、同様の手続きで、続々と規制開始。05/09/15、3−CPP、06/01/30、5−MeO−AMT(通称、アムト)、TMA−2、2C−T−2を知事指定。

2005年4-5月
脱法ドラッグ関連で逮捕者:「フォクシー」関連して、2005/04/20、宮崎県警は43歳男性と28歳女性を、2005/05/03、警視庁は男性(39)を麻薬及び向精神薬取締法違反容疑で逮捕した。男性(39)は4月18日新宿区の路上で「5-MeO-DIPT」(俗称・ゴメオ、フォクシー)約2グラムを所持しており、若干量を使用したと見られる。

2005年7月5日
05/07/01の深夜に東京都新宿区駐車場で四谷署員が男性(茨城県警25歳巡査長)を職務質問。男が所持していたカプセル錠から微量の「ゴメオ」を検出したため、同5日、麻薬所持の疑いで逮捕した。(編者註:ゴメオは05/04/17から麻薬指定されている。すでに脱法ドラッグではなく、麻薬!)

2005年8月8日
05/08/08発売の「週間朝日」(8月26日号)に、[ ロッテ選手たちが飲んでいる「謎の薬物」−快進撃の舞台裏で何が ] というタイトルで、複数のロッテ選手が集中力が増す「グリーニー」と呼ばれるカプセルを常用していると指摘した。ちなみに Greenie というのは、1960年代後半に大リーグプレーヤーに使われていたというアンフェタミン錠剤またはカプセルのことである。しばしば緑色だったので、こういうスラング名で呼ばれた。翌日、千葉ロッテ関係者が全面否定。(編者註:アンフェタミン錠剤なら、覚せい剤そのものだし、MDMAなら法律上は麻薬扱いされるアンフェタミン系化合物だが、さすがにこれはちょっと信じがたい。エフェドラ製剤なら、可能性がありそう。エフェドラ製剤は、今現在アメリカでは、製造禁止、販売禁止だが、まだ、一部のドラッグストアーでは、購入可能だった、というレポートがある。アメリカでも日本でも、所持と個人使用は違法ではない。日本では、販売と譲渡は犯罪)

2005年8月27日
「脱法ドラッグ」の実態を把握するため、厚生労働省は、情報収集や調査を民間に委託する方針を固めた。今後は、アダルトショップや輸入雑貨店に「覆面調査員」が出没することになる。

2005年9月2日
厚生労働省の検討会は、いわゆる「脱法ドラッグ」の呼び方を「違法ドラッグ」に改めることに決めた。実際には、ほとんどが薬事法の無許可・無承認医薬品に該当し、製造や販売が薬事法違反となるのに、「脱法」では法の網をくぐり抜けている印象を与えるとして、啓発活動での呼称の変更を決めたもの(共同通信)。(編者註:「違法ドラッグ」では、「麻薬及び向精神薬取締法」による規制薬物との区別ができないので、この呼称は一般化しないと思う。マスコミが使わなければ、自然消滅するであろう)

2005年10月27日
神奈川県が、研究用化学物質と称してインターネットなどで販売されている脱法ドラッグ15製品を試買、調査した結果、そのうちの14製品から幻覚作用などの有害性がある化学物質が検出されたとして使用中止を呼びかけた(ニッポン消費者新聞)。

2005年11月10日
厚生労働省と東京都は、荒川区のアダルトグッズ卸売り業者に薬事法違反(医薬品の無許可販売)容疑で立ち入り検査し、「RUSH」など22製品の脱法ドラッグについて、廃棄、販売中止や自主回収を指導した。全国初の摘発(卸売会社への立ち入り検査は初めて)。

2006年 1月30日
厚生労働省は、脱法ドラッグ「RUSH(ラッシュ)」を大量に輸入転売していた化粧品輸入販売会社(東京都新宿区)を薬事法違反の疑いで警視庁に刑事告発した。同省が脱法ドラッグで刑事告発したのは初めて。同社は、最近では、1月あたり1万数千本のRUSHを輸入しており、これは国内流通分の大半にあたるとみられている。

2006年7月10日
06/07/10夜、関西大学法学部2年の男子学生(19)が脱法ドラッグを飲んで興奮状態に陥り、約3時間後に大阪府吹田市のマンションから転落死した。後日、学生の体内などから「5―MeO―MIPT」と呼ばれる薬物成分が検出された。この薬物は「ミプティー・キューブ」、「ミプト」などの名称で売られており、05年3月に麻薬指定されているゴメオのケミカル・カズン(chemical cousin、似た化学構造を持つ薬物)。ゴメオと同様、幻覚や興奮作用を引き起こす。麻薬取締法では規制対象外になっている「脱法ドラッグ」で、東京都は05年4月施行した条例で製造販売を禁じている。→この件に関しては、後日、関大生にドラッグを売った雑貨店の経営者、その仕入れ元の雑貨店経営者などがそれぞれ薬事法違反容疑で逮捕された。

2006年7月25日
厚生労働省は、全国の店舗やインターネットで売られている強壮・やせ効果をうたった健康食品や、脱法ドラッグとみられる製品を買い上げ、成分を分析したところ、健康食品の約15%、脱法ドラッグとみられる製品の約40%から、薬事法で無許可の販売を禁じている医薬品成分を検出したと発表した。調査は昨年9月から今年3月にかけて、各都道府県に買い上げを依頼、国立医薬品食品衛生研究所(東京)で分析したもの。

2006年8月4日
脱法ドラッグ「メチロン」に合成麻薬MDMAの2倍の中枢興奮作用があることが分かった。メチロンはMDMAの化学構造の一部を変えた薬物。国立精神・神経センター(東京都小平市)と岡山大によるマウスを使った共同研究。

2006年8月25日
東京都は、脱法ドラッグ「メチロン(Methylone)」と「PMMA(別名、HMDMA)」について、麻薬と同じ幻覚・興奮作用を引き起こすとして、都薬物乱用防止条例に基づく知事指定薬物に指定した。9月8日からこの成分を含む商品の製造・販売を禁止し、違反した場合は懲役や罰金などの罰則が適用される。メチロンは国内で医薬品成分として販売規制されているが、インターネット上や雑貨店などで、アロマオイルなどの香料や防臭剤という名目で売られている。価格は1グラム1万円程度で、「COCOA Aroma」、「Rose Water Flavour」などの商品が確認されている。→メチロンは、当院でもおなじみのドラッグ、「薬物乱用、依存症、200人の証言」サイトの[きっかけ、気分変化→携帯サイト]、[依存、 経済問題→合法ドラッグ依存]の項目を参照されたい。

2007年6月28日
熊本県警は、ミクシィに不正アクセスし、向精神薬「リタリン」を違法に販売(1錠430円)したとして、横浜市の女性(24)を逮捕した。ミクシィには「リタリン」のほか、薬物関係のコミュニティが多数存在することが指摘されている。(熊本放送)

2007年7月4日
「リタリン」をネット販売した容疑で、札幌の女性(24)が逮捕された。全国230人に350万円分売りさばいたという。あるケースでは、1錠650円であった。(07/07/05毎日新聞)

2007年9月18日
毎日新聞による、「リタリン乱用防止」キャンペーンが始まる。連日、関連記事が掲載される。(07/09/20毎日新聞) [TOPへ]


[関連サイト]

 合法ドラッグ、脱法ドラッグ
 リタリン乱用
 ハーブ系ダイエット薬、エフェドラ(Ephedra)の危険性


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AKH文責:竹村道夫(04/01/13)


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