【病院内・万引盗癖ミーティング 】
(改訂 09/06/05)
【ご連絡:自助グループについて】
東京都内において、窃盗癖の方の自助グループ、「クレプトマニアクス・アノニマス」が始まりました。
詳細はこちら→[クレプトマニアの自助グループについて]
【関連ページ】
「窃盗癖(Kleptomania)」の基礎知識についての情報はこちら→[窃盗癖(Kleptomania)]
【病院内 万引・窃盗ミーティングのお知らせ】
赤城高原ホスピタルでは、2009年2月現在、1週間に7回、(月、火、木、金、土曜日の8:45-9:30と水曜日と土曜日の午前
10:00−11:30)万引・盗癖本人向けミーティングを行なっています。
クローズドミーティングなので、万引、盗癖の問題に悩んでいる本人だけしか出席できません。
今のところ、あらかじめ当院で診断を受け、担当医から出席を勧められた外来、入院患者しか出席できません。
月に2回、第2、第4水曜日午前10:00-11:30の万引・盗癖ミーティングは、回復者による本人向けメッセージミーティングです。
また、第2、第4水曜日午後1:30-3:00には、(摂食障害+万引)回復者から万引・盗癖者の家族に向けてのメッセージ・ミーティングがあります。
(以下、病院内、万引盗癖・関連ミーティングの歴史です:
1995-2000年、何度か盗癖・万引者の自助的グループを作るが、長続きせず、消滅。
2000年6月中旬、試験的に「万引・盗癖ミーティング」(通称MTM)を始める。
2000年12月下旬、出席者が1名だけの開店休業状態が約1月続くが、その後は復活。
02/03/06の出席者は入院中3名、外来3名、計6名で、いい雰囲気です(関連記事 ⇒ 「曜日別プログラム内容説明」)。
03年9−10月現在、多いときには出席者が10名になります。
05年10−11月、MTM(万引・盗癖ミーティング)は、ほぼ定着したようです。また、MTMは、水曜日と土曜日の週2回になりました。
06年6月、水曜日のMTMは、メッセージ・ミーティングになりました。回復者が司会をします。(当院MTMに参加して回復した先行く仲間です)
07年5月、水曜日のMTM、メッセージ・ミーティングが、メッセンジャーの個人的事情のため中断。
07年10月、有志による毎朝のMTM開始、これは水、土曜日のMTMと違って、強制的出席でなく、自主的出席スタイル。
07年11月、月に一度の本人向けメッセージ・ミーティングが復活。万引回復者から万引・盗癖者の家族に向けてのメッセージ開始。
08年1月、月に2回の本人向けメッセージと、同じく月に2回の家族向けメッセージ開始。
09年1-6月、月に3,4回の本人向けメッセージと、同じく月に3,4回の家族向けメッセージ開始。
09年1-6月、水曜日のMTMには、毎回15-20人が参加。
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【「万引・盗癖ミーティング」の発足と発展】
赤城高原ホスピタルでは、1990年代後半から、何度か、万引・盗癖の自助グループを作ろうと試み、患者同士を引き合わせたり、筆者自身が司会をして数人の患者を集めて集団療法を行なったり、あるいは何度か患者だけで話し合わせたりしました。しかし継続できず、長続きしませんでした。
そのような数多くの失敗にもめげず、出席希望者を募り、2000年6月中旬から、週に1回、水曜日、1時間半の「万引・盗癖ミーティング」(通称MTM)を始めました。
当院の各ミーティングには、全て略称がついていますが、「万引・盗癖ミーティング」の略称は、MTMです。
結局これが6年以上続いています(2006年8月現在)。
MTM発足後も、主として、MTMに出席していない患者による万引・窃盗事件が続き、病院管理上、放置できない事態となりました。
そのため2001年以後は、対象者のMTM出席を、半強制的にしました。原則として、入院前のおよそ1年以内に万引・盗癖の犯歴がある患者は、入院条件のひとつとして、入院時の説明のときに、このミーティングに出ることを言い渡すことにしました。また、入院中にこの種の事件を起こした者も出席を入院継続の条件にしています。
当院では、アルコール問題、薬物乱用、摂食障害、感情障害、家族などそれぞれの問題、対象別に多種多様のミーティングがあるが、それらはいずれも出席を強制されることはないので、MTMの強制出席は例外的な扱いです。
MTMの形式は、そのほかの自助グループと同様であり、「言いっぱなし、聞きっぱなし」のコメントなし、そして発言内容の秘密厳守が標準になっています。そうは言っても、ミーティング場が院内にあるので、そこに出入りするメンバーは、周りの患者には分かってしまいます。そのため、MTM出席によって、周りの患者に万引問題を知られることになり、犯罪者扱いされると言って、出席を渋る患者がいました。
多くは、単にさぼるための口実ですが、稀に実際に嫌がらせをする患者もいました。その場合には、その嫌がらせをする患者を呼んで、主治医や院長が警告をしました。驚いたことには、そのような嫌がらせをした患者が、後日、万引をして捕まることがありました。一度ではなく、数回(数人)そういうケースがありました。
2004年後半頃、万引問題を持つ過食症の若年女性で、治療に積極的な患者群がまとまって入院した時期がありました。その群の患者の希望でMTMを週に2回(水曜日と土曜日)に増やすことにしました。
ただし、その当時のMTM出席者の大部分は、そのような意欲的な患者ではなく、むしろ消極的な参加者でした。だから、積極的な中核メンバーが退院したり、外泊中だったりすると、ミーティングが万引・盗癖に関係のない雑談になったり、大幅に時間短縮をして終了になったりする事もありました。
2006年6月からは、水曜日のMTMは、メッセージ・ミーティングになりました。通常は、ミーティングの司会はある程度の出席経験のある仲間が回り持ちで行なうのですが、メッセージ・ミーティングでは、メッセンジャーが司会者となります。最初に司会者がその日のテーマを決め、15-30分程度、自分の話をしてから、参加者に発言を求めます。
メッセンジャーは、上記の意欲的な患者群のひとりで、入院前の頑固な万引癖がなくなり、入院中のMTM出席が役に立ったと感謝している回復途上の患者です。当然、回復レベルの高いメッセンジャーの自己開示は正直です。心理面を含めて深く徹底的です。ビギナーたち(ミーティングに出始めたばかりの仲間)は、回復者の話を聴くことによって自分の否認を打ち破られ、またメッセンジャーに自分の回復のモデルを見いだすのです。
2006年8月末現在、週2回のMTMには、外来患者や回復者も加わり、多い日には10人以上の参加者があります。数人のMTM出席者から、「この病院で、一番、中身が充実していて、効果があると思われるのは、MTMです」という話を聞いています。MTMは、万引・盗癖の当事者(本人)だけしか出席できませんから、院長といえども、その雰囲気は、出席者から間接的に聴くことしかできませんが、警察では話せないような、かなり、赤裸々な正直な話がされているようです。
当院患者の中には、繰り返す万引のために実刑になり、刑期を終えた後にも万引が続き、治療のために入院した患者さんや、万引発覚後に、それを職場や友人に知られることを恐れて自殺を図り、瀕死の重傷を負った患者さん、過食嘔吐と万引で自暴自棄になり、自傷・自殺行為を繰り返していた患者さんなど、重症例も多いのですが、MTM定着者の大部分では万引が止まっているようです。
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● または、昼間の時間帯に、当院PSW(精神科ソーシャルワーカー)にお電話してください。
文責:竹村道夫(2006/8)