【 窃盗癖,文献紹介 】
(改訂 22/07/25)
【窃盗癖関連文献目録】 ● Printer-friendly Version → 窃盗癖関連(竹村道夫院長が講演時に使用することが多い)文献目録(A4版3ページ)は,こちらからダウンロードしてプリントしてください。
(竹村道夫弁護士会講演録など,一部文献は有料別冊の直接購入が可能です。詳しくは上記文献目録を参照してください)
【窃盗癖関連新聞記事目録】● Printer-friendly Version → 窃盗癖関連新聞記事リストとその内容概略は,こちらのページからダウンロードしてください。
【窃盗癖関連問題FAQ】● Printer-friendly Version → 専門家向け,よくある質問(窃盗癖に関するFAQ)は,こちらのページからダウンロードしてください。
【文献紹介】(新しい文献を上にしました)
● 2022年7月25日発行の医学雑誌 「アディクションと家族」(第37巻2号 111-117 家族機能研究所)に,院長執筆の「クレプトマニア(窃盗症)の始まりと回復」という文献が掲載されました。
● 20022年7月5日,医学雑誌,日本精神病院協会雑誌(2022 Vol.41 No.7 43-48)に院長執筆の論文,「窃盗癖の精神科臨床」が掲載されました。
本誌7月号は特集号で,テーマは,「精神科病院における依存症,特に行動(過程)依存への取り組み」です。
竹村道夫. クレプトマニア(窃盗症)の診断・治療と再発防止プログラム 139-177. 2022. 診断と治療社.
単行本は,4,290円(税込み) 電子書籍もあります。
竹村道夫. 行動嗜癖 50-51. 2021. 成文堂.
竹村道夫. 行動のアディクション クレプトマニア(窃盗症). 治療 Vol102. No.3. 350-353. 2020.
2,750円 (税込み) 電子書籍もあります。
2018年11月,公益社団法人アルコール健康医学協会の「アル健協 NEWS & REPORTS」VOL24 No.02に竹村院長によるアルコール依存症の合併疾患としての摂食障害,窃盗症に関する解説記事が掲載されました。
タイトルは,「アルコール依存症に合併しやすい嗜癖問題」。 P2-7.
・若年女性のアルコール依存症の多くは摂食障害を合併
・摂食障害と結びつきやすいアルコール依存
・摂食障害とアルコール依存症合併のリスク
・依存症の正しい治療に向けて家族ができること
・多重嗜癖は正しい判断のできる専門医に相談することが重要
竹村道夫. [改訂版]精神科・わたしの診療手順. 窃盗症.臨床精神医学 45(増刊号): 384-387. 2016. アークメディア.
竹村道夫. 窃盗癖と他の嗜癖性疾患との比較.臨床精神医学 45(12): 1571-1576. 2016. アークメディア.
竹村道夫: 窃盗症の概念と治療. BRAIN and NERVE. 68(10): 1177-1186, 2016 医学書院.
竹村道夫: クレプトマニア(窃盗症)の理解と援助. 臨床心理学.増刊第8号 やさしいみんなのアディクション161-162.2016. 金剛出版.
竹村道夫: 常習窃盗. こころの科学. 182.45-48.2015. 日本評論社
「更生保護」は,日本更生保護協会が出版する月刊誌です。
竹村道夫: 高齢者の常習窃盗.更生保護(特集高齢者犯罪の現状と処遇)2015.6;.13-16
医学雑誌,「精神療法」精神療法編集委員会(編集),2015年2月5日発行,に竹村道夫院長執筆の論文,「常習窃盗の治療」 が掲載されました。
精神療法第41巻第1号は,「暴力を振るう人々(加害者)に対する精神療法」の特集です。
常習窃盗の治療 竹村道夫 57-61
定価(税込)2,160円 です。一般書店かネットで注文できます。
医学雑誌,「アディクションと家族」(季刊,第30巻第1号,2014年7月20日発行,家族機能研究所)は,「第24回日本嗜癖行動学会特集号」です。窃盗癖関連の記事がいっぱいです。
以下,内容概略です。
①竹村道夫: 嗜癖問題への対応に学際的視点を導入する~第24回日本嗜癖行動学会をふり返って~. アディクションと家族. 30(1)2-5. 2014.
②竹村道夫, 津波朝日, 林大悟: 窃盗癖への対応~医療と司法の協力に関して~. アディクションと家族. 30(1)23-32. 2014.
③樺澤美香, 小林千佳子, 大塚淳子. ほか: 常習的窃盗患者の看護,17年の経験~どのように困難を克服してきたか~. アディクションと家族. 30(1)50-54. 2014.
④阿左見祐司, 小林千佳子, 下田智子, ほか: 常習的窃盗患者の看護~溜め込み問題と看護の対応~. アディクションと家族. 30(1)62-66. 2014.
定価(税込)1,728円 です。購入は,以下のサイトからできます。http://www.iff.co.jp/book/adf/a20094/index.html
精神科治療学 第28巻増刊号
物質使用障害とアディクション 臨床ハンドブック
編集:「精神科治療学」編集委員会 B5判 並製 432頁 通巻328号
定価 6,195 円(本体 5,900円) 2013年10月発刊
第 IV 部 アディクション
1.病的ギャンブリング 佐藤 拓/伊波真理雄,阿部 誠,今井裕子/田辺 等/河本泰信/中村 努/西村直之/矢澤祐史/稲村 厚/田中紀子
2.窃盗癖の臨床的特徴と治療 竹村道夫 339-343
3.インターネット依存(嗜癖)の臨床的特徴と治療 中山秀紀,三原聡子,樋口 進
4.性的嗜癖行動に対する包括的地域トリートメント 斉藤章佳
医学雑誌,「アディクションと家族」(季刊,第29巻第3号,2013年9月30日発行,家族機能研究所)は,「クレプトマニア再考」特集号です。
以下,内容概略です。
巻頭言 精神療法と管理面接 宮本真巳 196
特集 クレプトマニア再考
特集にあたって 斎藤 学 204
盗癖への対応と治療,700症例の経験から 竹村道夫 207
摂食障害患者の万引きをどう考えるか−精神科の立場から− 高木洲一郎 212
窃盗常習者による事件の弁護 林 大悟 220
座談会:私たちが窃盗癖を手放す時 司会/斎藤 学 227 (各行末の数字は掲載ページ)
定価(税込)1,680円 です。購入は,以下のサイトからできます。http://www.iff.co.jp/book/adf/a20094/index.html
竹村道夫著. 摂食障害と窃盗癖. 臨床精神医学 42(5):567-572,2013
英文タイトル: Eating Disorders and Kleptomania
著者: 竹村道夫
英文著者名: Michio Takemura (Akagi-kohgen Hospital)
索引用語:摂食障害, クレプトマニア, 心理メカニズム, 賦活症候群, 嗜癖治療アプローチ.
Key words: eating disorders, kleptomania, psychological mechanism, activation syndrome, addiction treatment approach.
抄録: 赤城高原ホスピタルは,群馬県渋川市のアルコール・薬物依存症専門病院である。同病院とその関連医療施設である京橋メンタルクリニック(東京)では,2008年以降,窃盗癖患者の受診が急増している。その中の最大グループ,摂食障害と窃盗癖の合併患者群について,その概要を紹介した。また両精神障害の密接な関係について,その心理メカニズムを分析した。最後に,処方薬がひき起こす窃盗癖に関して臨床医の注意を喚起した。
以下,目次:
1.治療施設,自助グループ
2.当院とクリニックにおける摂食障害と窃盗癖合併患者の特徴
3.窃盗癖と摂食障害,両者をつなぐ要因の一般的説明
4.両疾患を結ぶキーワード,「涸渇恐怖」と「溜め込みマインド」
5.処方薬がひき起こす窃盗癖
6.窃盗癖の治療
7.おわりに
精神神経学雑誌に,摂食障害患者の万引き問題,特集
日本の精神医学文献としては,最も権威のある「精神神経学雑誌」の,学術総会シンポジウム特集号に「摂食障害患者の万引き問題」の文献が掲載されました。
第107回学術総会シンポジウム
「摂食障害患者の万引きをめぐって」の発表原稿を基にした文献6件です。
内容は,以下の通りです。詳しい記事内容がネット上に公開されているようです。
→107 回 日本精神神経学会学術総会(2011 年)特集号(電子版)
【 摂食障害患者の万引きをめぐって 】
摂食障害患者の万引きをめぐって(130KB)
高木洲一郎(コーディネーター)の紹介文
①摂食障害患者の万引きをめぐって(375KB)
高木洲一郎(自由が丘高木クリニック)
②窃盗癖-嗜癖治療モデルによる対応(377KB)
竹村道夫(赤城高原ホスピタル)
③矯正施設内の摂食障害患者―特にshoplifting が問題だったケースについて―(442KB)
浅見知邦(八王子医療刑務所精神科,日本医科大学精神医学教室)
④摂食障害患者の万引き―治療か刑罰か―(325KB)
中谷陽二(筑波大学大学院医学医療系)
⑤摂食障害者による窃盗事件の弁護(332KB)
林大悟〔弁護士(埼玉弁護士会)〕
⑥摂食障害と衝動制御― 2つの視点から―(233KB)
上原徹(群馬大学健康支援総合センター)
上記6件の文献内容の抜粋を別ページに掲載しました。→摂食障害と万引き,精神神経学会シンポジウム,文献紹介
この分野の論文は数少なく,貴重な文献ですので,是非,参照されるようにお勧めします。
刑事弁護の羅針盤とも呼ばれる「季刊 刑事弁護67号」に
窃盗癖関連の記事が出ています。
一般の方も入手可能です。平成23年7月15日発売,2,625円
次の記事は,窃盗癖ケース関連です。
[刑事弁護レポート]
「あるクレプトマニアの情状弁護で新人弁護士が得たもの」:田中 拓
上記記事中の主人公,Xさんの日記がこちらにあります。
→ 窃盗癖患者,闘病日記 その1 窃盗癖患者,闘病日記 その2
「季刊 刑事弁護64号」に窃盗癖関連の記事が出ています。
一般の方も入手可能です。平成22年10月15日発売,2,625円
次の3つの記事は,窃盗癖関連です。
再犯を防ぐ弁護活動とは? :高野嘉雄
ケース報告:クレプトマニア(窃盗癖)/再犯でも弁護人ができること:林 大悟
回復支援・治療の現場から/窃盗癖の治療最前線と刑事弁護:竹村道夫
上記の3記事は,いずれも専門治療と弁護活動の協力体制の大切さを強調しています。
医学雑誌,「アディクションと家族」(季刊,第26巻第4号,2010年4月25日発行,家族機能研究所)は,「クレプトマニアと摂食障害」特集号です。
以下,内容概略です。
特集にあたって?クレプトマニアと罪悪感 斎藤 学 267
クレプトマニアと摂食障害?望まれる司法対応と治療
~「法と精神医学」研究会より~ 高木洲一郎, 竹村道夫, 斎藤 学, 森野嘉郎, 木下淳博, 当事者 269
当事者との対談 「あたしはこんなに偉いんだ」という気持ちで盗っていた U子さん 聞き手/斎藤 学 285
摂食障害患者の万引きと司法精神医学 中谷陽二 291
摂食障害患者の万引きをめぐる諸問題 高木洲一郎,ほか 296
摂食障害と窃盗癖,私の対処法 竹村道夫 304
摂食障害から派生した窃盗癖の一例 斎藤 学 311
摂食障害者の窃盗事件をどのように弁護したか 林 大悟 321
研究報告 精神科医療機関を受診した常習的窃盗行為を有する患者群の報告 清水裕美,ほか 325 (各行末の数字は掲載ページ)
定価(税込)1,680円 です。購入は,以下のサイトからできます。http://www.iff.co.jp/book/adf/a20094/index.html
または,株式会社IFFヘルスワーク協会出版部(03-5575-3764)にご相談ください。
また,医学雑誌,「アディクションと家族」(季刊,23巻第3号,2006年11月15日発行,家族機能研究所)は,「クレプトマニア」特集号です。
以下,内容概略です。
特集にあたって 斎藤 学 206
当事者との対談 聞き手/斎藤 学
├カバンの中が盗品でいっぱいだとすごい幸せ! L男さん 209
├友達のものを盗ってもシラッとしている自分がいた M子さん 218
└帰り道のコンビニで,パンやおにぎり100個ずつ盗った P子さん 225
摂食障害者のクレプトマニア 遠藤優子 232
万引き・盗癖の自助グループについて 竹村道夫 238
クレプトマニアについて-積極的養生のすすめ 永野 潔 244
クレプトマニアと罪悪感 斎藤 学 252 (各行末の数字は掲載ページ)
定価(税込)1,680円 です。購入は,以下のサイトからできます。http://www.iff.co.jp/book/adf/a20063/index.html
または,株式会社IFFヘルスワーク協会出版部(03-5575-3764)にご相談ください。
25例のクレプトマニア患者を無作為に2群に分け,1群にナルトレキソン,他群に偽薬を投与,8週間追跡したところ,ナルトレキソン群が有意に改善。但し,大部分で抗うつ薬を同時投与。
Grant JE, Kim SW, Odlaug BL.: A double-blind, placebo-controlled study
of the opiate antagonist, naltrexone, in the treatment of kleptomania.
Biol Psychiatry. 2009 Apr 1;65(7):600-6. Epub 2009 Feb 12.
カナダの摂食障害治療グループによる,(摂食障害+万引)患者の行動療法パイロットスタディの結果は以下のようなものでした。
6人の(摂食障害+万引)患者に,8週間の行動療法を行ない,治療前,治療終了時,1ヵ月後,6ヵ月後に評価をした。6人中3人のみが治療プログラムを終了した。全ての対象患者で,自己評価の向上と,万引衝動のコントロール能力の改善を認めたが,万引頻度の減少を報告したものは1人のみであった。行動療法がこの種の患者に有効である可能性あるが,より長期のセッションと長期のフォローが必要かもしれない。(2005)
Birmingham CL, Hlynsky J, Russell B, Gritzner S.: Pilot treatment program for shoplifting in eating disorders. Eat Weight Disord. 2005 Dec;10(4):e105-8.
21例のクレプトマニア患者とその一等親,57例について,いくつかの心理検査を行い,64例の対照群と比較したところ,クレプトマニア患者群とその一等親群には,感情障害,不安障害が有意に多かった。(2004 Israel)
Dannon PN, Lowengrub KM, Iancu I, Kotler M.: Kleptomania: comorbid psychiatric
diagnosis in patients and their families. Psychopathology. 2004 Mar-Apr;37(2):76-80.
トピラメート単独か,SSRIとの併用で,効果がみられた3例のクレプトマニア症例の報告。
(院長註)トパマックスは,日本では未発売のグルタミン酸拮抗薬。この薬剤は,片頭痛予防薬,抗てんかん薬として,アメリカで認可されている。日本では,現在,抗てんかん薬としての治験が進行中。さらにまだ研究段階だが,アルコール依存症治療薬,コカイン依存症治療薬,本態性振戦の治療薬,難治性双極性気分障害治療薬として,さらにダイエット剤としての可能性が有望視されている。(2003 Israel)
Dannon PN.: Topiramate for the treatment of kleptomania: a case series and review of the literature. Clin Neuropharmacol. 2003 Jan-Feb;26(1):1-4.
ナルトレキソン(naltrexone,アヘン受容体拮抗薬)が有効であったという思春期クレプトマニア症例の報告。(2002 USA)
Grant JE, Kim SW. : Adolescent kleptomania treated with naltrexone--a case report. Eur Child Adolesc Psychiatry. 2002 Apr;11(2):92-5.
クレプトマニアの治療としては,過去1世紀において,精神療法から精神薬物療法的介入への転換が見られる。認知行動療法に加えて,SSRIやそのほかの抗うつ薬,感情調整剤,オピオイド受容体アンタゴニスト(拮抗物質)などを用いた薬物療法が有望である。(2001 Israel)
Durst R, Katz G, Teitelbaum A, Zislin J, Dannon PN.: Kleptomania: diagnosis and treatment options. CNS Drugs. 2001;15(3):185-95.
精神療法に加えて,fluoxetineか paroxetine投与によって,効果があった5例を報告した。うち1例では,投薬中止によって,繰り返し盗みの再発が見られた。この所見は,クレプトマニアに対するSSRIの有効性を示すと共に,この疾患にはセロトニン系機構の機能不全との関連性があるという仮説を支持する。(1999 Israel)
Lepkifker E, Dannon PN, Ziv R, Iancu I, Horesh N, Kotler M.: The treatment of kleptomania with serotonin reuptake inhibitors. Clin Neuropharmacol. 1999 Jan-Feb;22(1):40-3.
DSM-IVの診断基準に合致する「純粋なクレプトマニア群」37名と捕まったばかりの一般的な万引者群,50名を比較し,計画性,心理的偏り,盗品の必要性などの点で,両群に差がなかった。僅かに,窃盗の実行前の緊張感と,実行後の開放感がクレプトマニア群で高かった。(1997)
院長コメント:DSM-IV では,あたかも純粋なクレプトマニアと一般的な万引の間には明瞭な区別があって,万引はありふれているが,純粋なクレプトマニアは極めて稀であるというように書かれていますが,このページの初めの方(診断基準の項目)に書いたように,私自身は,これに疑問を持っています。この文献も,そのことを裏付けているように思います。
Sarasalo E, Bergman B, Toth J.: Theft behaviour and its consequences among kleptomaniacs and shoplifters--a comparative study. Forensic Sci Int. 1997 May 5;86(3):193-205.
クレプトマニアにSSRIが有効であるとの最近の数件のレポートとは逆に,うつ病のSSRIによる治療中にクレプトマニア様の行動が見られた3症例を報告した。(1997 Israel)
Kindler S, Dannon PN, Iancu I, Sasson Y, Zohar J.: Emergence of kleptomania during treatment for depression with serotonin selective reuptake inhibitors. Clin Neuropharmacol. 1997 Apr;20(2):126-9.
過食症患者には,自己破壊的な嗜癖行動を伴うことが少なくないが,中でも,反復される窃盗と処方薬の過量服用は,重症度の指標となる嗜癖行動であり,これらが単独の随伴嗜癖行動であることは少ない。(1993)
Lacey JH.: Self-damaging and addictive behaviour in bulimia nervosa. A catchment area study. Br J Psychiatry. 1993 Aug;163:190-4.
過食症患者を窃盗を伴う群と,窃盗をしない郡に分けて比較したところ,窃盗群は,幼児期の対人関係が希薄で,性的に早熟な結果性活動が活発で違法薬物の使用頻度が高く,また,強迫的で,強迫行動を儀式化する傾向があった。(1992)
Rowston WM, Lacey JH.: Stealing in bulimia nervosa. Int J Soc Psychiatry. 1992 Winter;38(4):309-13.
過食症の万引者と過食症でない万引者を比較したところ,非過食症群のほうが,より早期に盗みを始め,過食症群より体重が多く,万引に関してより反社会的な理由をあげることが多かった。(1992)
Mitchell JE, Fletcher L, Gibeau L, Pyle RL, Eckert E.: Shoplifting in bulimia nervosa. Compr Psychiatry. 1992 Sep-Oct;33(5):342-5.
疫学的データはないが,盗み行為と摂食障害とには関係があり,とくに過食症患者の過食行動との関連性が強い。盗癖の存在は,摂食障害の重症度の指標となりうる。一般人における盗み行為の頻度に関するデータが少ないことは,この種の調査の困難さのひとつである。(1995)
Baum A, Goldner EM.: The relationship between stealing and eating disorders: a review. Harv Rev Psychiatry. 1995 Nov-Dec;3(4):210-21
20例の厳格に診断されたクレプトマニア症例について,本人に構造化面接を行い,その家族歴を聴取した。全てのクレプトマニア症例が大感情障害の,16例が不安障害の,12例が摂食障害の罹患歴があった。31%の症例で1等親に大感情障害が見られた。感情調整薬投与を受けた18例中10例で,盗み行為の改善傾向が見られた。これらの所見から,クレプトマニアは大感情障害に関連があるか,感情障害圏疾患であると考えられる。(1991 USA)
McElroy SL, Pope HG Jr, Hudson JI, Keck PE Jr, White KL: Kleptomania: a report of 20 cases. Am J Psychiatry. 1991 May;148(5):652-7.
クレプトマニア研究のレビュー。クレプトマニアは感情障害に関連があるか,感情障害圏疾患であろう。(1991 USA)
McElroy SL, Hudson JI, Pope HG, Keck PE.: Kleptomania: clinical characteristics and associated psychopathology. Psychol Med. 1991 Feb;21(1):93-108.[TOP]
【追加事項】
窃盗癖の一部を精神疾患とみなすからと言って,筆者は「万引・窃盗」の犯罪性を否定するものではありません。違法薬物の乱用と依存症,違法ギャンブル常習,家庭内暴力,放火癖などには,犯罪という側面と,嗜癖性精神障害としての側面があります。有効な問題解決や予防のためには,法的取り締まりだけではなく,嗜癖治療が欠かせません。
DSM-IV の日本語訳の本文中の各疾患名には参考原文対照として元の英語疾患名が出ていますが,その「窃盗癖」の元の英語疾患名,「Kleptomania」はミススペリングで,「Kleptmania」となっており, o が脱落しています(医学書院,614ページ)。[TOP]
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文責:竹村道夫(2000/7)