【 マス・メディアに紹介された窃盗癖治療 】
(改訂 10/07/22)
2010年7月16日(金)、NHK-TVで、成人の万引き問題の特集番組がありました。
特報首都圏(19:30-19:55)の『なぜ増える 大人の万引き』という特集(10/07/16確認)です。
赤城高原ホスピタルにおける窃盗癖治療が紹介されました。2010年7月17日(土)、10:05‐11:00に再放送がありました。
同番組は、NHKオンデマンドで視聴可能です。
内容概略は以下の通りです。
キャスター、中野純一、「特報首都圏です」。20年前は、万引き犯は、子供が成人より多かったが、現在では、検挙された万引き犯の70%が成人。平成15年頃から成人による万引き検挙数が急増し、現在東京では、毎年約一万人の成人が万引で検挙されている。なぜ、成人の万引きが増えているのか、その実態と対策に迫る。背景として、長引く不況による生活困窮という状況がある。一方で、その商品が欲しい訳ではないのに、万引きを繰り返している人がいる。上野の100円ショップで61歳の男性万引き犯を確保する映像。盗品はスリッパや小物入れなど、6点。その店では、昨年万引き被害が200万円であったという。警視庁による万引き犯、810人の聞き取り調査。
成人では、約30%が正確困窮を万引の理由として挙げる。(生活困窮者の例)二人の中年女性の万引き映像。下着や食料品等を万引きしていたが、二人とも路上生活者であった。別の万引き実行中映像。カップめんを盗った30代男性。不況で職を失い、空腹に耐えられなかった、という。成人では、万引き検挙者に再犯者が多い。少年では12%、成人では45%が再犯検挙者。
ひとり暮らしの20代女性のインタビュー映像。小学4年時に両親が離婚。母親の関心を引くために万引きしていた。その後、止まっていた万引きが成人期に再発。交際していた男性との別れがきっかけ。自分はだれからも必要とされていない、というこころの空白を埋めるたまに万引きを続けていた。別の30代主婦のインタビュー映像。経済的不安はない。欲しくもない物を万引き。使わないまま捨ててしまうことも多かった。万引きが止まらず、終に刑務所に入った。幼い頃から、両親の不仲に悩んでいた。(中略)
赤城高原ホスピタルの映像。院長のインタビュー。竹村道夫院長は、これまでに300例近くの窃盗癖患者を診療してきた。万引きケース記録の映像。万引き発症きっかけは様々。リストラで失業。夫のアルコール問題、DV(家庭内暴力)。職場の人間関係。「自分の努力、能力、やっていることが認められていない、という感じを持っている人。そういう人が万引きをしたら、ホッとした感じがして、万引き成功時に開放感や達成感を味わって、それがが病みつきになる。
林大悟弁護士と陶山美絵レポーターのスタジオインタビュー解説。
陶山美絵(社会部):mん引きは、被害に遭う店にとっては、深刻な問題。小売店は、薄利多売。長引く不況の中で、努力している。一つ商品を万引きされると、商店は、何十点も売らないと、損失をとりもどせない。一方、万引きする側は、少年の場合は、ゲーム感覚で万引きする。成人の場合は、今の世相とか、社会が抱える様々な問題が表れている。例えば、厳しい雇用関係で仕事がなかったり、ストレスや孤独感を背景に万引きをしたり、・・・・・。警察は、「万引きはゲートウェイ犯罪」として、重点的に取り組み。店に全ての万引きケースを届け出るように呼びかけている。そのために手続きを簡略化し、店の負担を少なくしている。
林大悟弁護士:100件近くの窃盗癖について弁護を担当。成人の万引きには、、大きく分けて二つある。一つは、生活の苦しさを動機とするケース。失業し、家を失い、2日間食べていなかったケース。次に、動機について、そのような説明がつかないケース。医師や公務員など、万引きする必要がないケース。或いは、従業員と目が合ったのに、万引きが止められなかったケースなど。万引きを繰り返しているうちに、罪悪感が薄れていくということがある。自分一人が万引きしても、お店の経営には大した問題はないだろう、という誤った認識がある。お店だと、被害者の具体的な顔が見えないので、罪悪感が少ない、と言う人もいた。源家庭が機能不全という場合が多い。
キャスター、中野純一「対策については?」
院内集会の映像。女性@本当に盗む時は、全然罪悪感もないし、袋を持って行って、ごっそり入れて帰ってくる感じ。女性A万引きする時は、万引きするときは、「どうだ、私の力を見やがれ」みたいな、・・・女性B欲しい物じゃなく、「取りあえず、盗りに行かなきゃ」と思う。盗ってきても、全然こころが埋まらないから、(繰り返す)男性@普通の人に、「盗癖がある」と言うと、引いてしまうので、こういう話せる場所があるのは良いです。女性C自分をさらけ出して、救いを求める、・・・・・
万引から立ち直った中年女性の例。夫に先立たれた70代女性。介護の仕事に就き、自分が世の中から必要とされている、という実感を得たことが良かった。
店の取組み
一人ひとりに声をかけること。その際、必ず客の目を見ること。防犯コンサルティング会社。「いらっしゃいませ」より、直接一人の客に話しかけている「こんにちは」か「おはようございます」のほうご良い。
このように、人との繋がり、社会との繋がりが万引き防止の鍵。
林大悟弁護士:生活困窮による万引きに関しては、生活保護制度などの社会福祉資源を紹介している。そのような背景が明らかでない、衝動的に繰り返す万引きに関しては、こころのケアが必要。刑罰よりも治療が重要だと思う。
レポート内容の一部であったとはいえ、万引の犯罪性を強調するだけでなく、窃盗癖の治療について、その必要性を明確に述べたという点で、画期的な特集であったと思います。
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文責:竹村道夫(10/07/22)